11日目 デリーよ、私は戻ってきた

列車の中で悶えるような夢を見た後目が覚めた。列車の中では朝早くからゴソゴソうるさく、大声で誰かが叫んでいたり壁ドンする音が聞こえたりしたので安眠とは言えない状態であった。と言ってももう十分寝たので、朝日が昇ったころには3段ベッドの真ん中にある自分の寝床から降りた。一番下の寝床を使っていたインド人2人はもう降りたのかいなくなっており、荷物はなくなっていた。自分の荷物がすべてあることを確認した後、窓際の席で外の景色をぼんやりと眺める。窓の景色を見ると、列車は街中を走っているようであった。

車窓から朝日を見る

ムガルサライに行く時も5時間ほど遅れていたし、予定到着時間の7時ごろにつくはずがあるまい、ということで、適当に荷物の整理をした後に音楽を聞きつつ景色を眺めていると、他の3人も起きたようであった。

起きてから1時間くらいすると、やたら街中にはいり、他の鉄道線も増えてきた。これだけ都会の雰囲気になってくると少し心配になってきた。今日は列車の旅を満喫した後、昼飯時にデリーに着き、昼飯を食べた後にホテルに行ってのんびりするという算段だったからである。そのためには列車はなるべく遅れてくれないと困る。列車はそんな期待を裏切り、ひときわ大きな駅にすべりこんで行った。英語表記でNEW DELHI。なんてこった。到着予定7時台の列車が、8時ごろに到着するなんて!

あわてて荷物を持って外に出る。仕方がないのでニューデリー駅近くにあるメインバザールを通り、日本から予約していたホテルに向かうことにした。ニューデリー駅付近はガイドブックに「うそつき多し」とか書かれているところである。明らかに旅行者の格好をした我々がトラブルに巻き込まれないためには、物売り・勧誘ははっきり断り、ついてくる人間は無視するに限る。駅の陸橋を渡り、出口にたむろするリクシャーのおっさんに「ノー」といいつつ正面の道路を渡る。当然信号はないので他のインド人に合わせて渡るのである。そのまま行くとメインバザールで、安宿やらいろいろな店が並んでいるところだが、時間が早すぎるのか店はどれも閉まっていた。

メインバザールをホテルに向かって歩いていると、うちのゲストハウスに泊まらないかと2回勧誘されたが、丁重にお断りし、そのままあるいてホテルに到着。初めてデリーに来た時と同じホテルである。

ホテルに着いてしばらく休憩した後、朝食兼昼食を食べに行くことに。11時ごろにホテルを出て、メインバザールのカフェに行って見ることになった。昼になるとメインバザールはたいそうな活気で、果物売りが屋台を出していたり、雑貨屋が店を構えていたり、服がやたら安い値段をつけられて並べてあったりした。旅行者もまわりをみると結構いるようである。馴染めれば楽しそうな環境だなーと思いつつ、この環境に馴染めるほど言語力が体力がない、と自分でも思うのであった。

たどり着いたカフェはまだ朝食用メニューしか出せない時間だったようで、昼飯には足りない。昼食用メニューが頼める12時まであと30分あるので、それまで待つことにした。この日はメインバザールで自由行動にする以外に特に予定がないので、時間はたっぷりある。

席でダラダラしていると、ちょっと早めに店員が昼食用メニューを出してくれた。僕はターリー(インドの定食)を頼んだ。デリーの物価は他の地域より高いようで、どの料理も少々高いようであった。しばらくしてターリーがやってくる。カレーとダールにゆで飯とナンが山ほどついてきた。空腹だったが食べてるうちになかなかつらくなっていた。1年Iはご飯だけたのんでいたが、中途半端に味がついているだけで非常に食べにくそうにしていた。本来カレーとあわせて食べるのだろう。

その後は自由行動。僕はみやげの1つでも買おうかと思っていると、1年2人が紅茶を売っている店に入ったのでついていくことにした。その店では数十ルピーで大抵の品物が変える店で、紅茶2袋とダールマサラ(ダール用のスパイスミックス)を買った。店主はいくらか日本語がわかるらしく、他の日本人観光客が店主に値段を聞いていた。

紅茶店を出てホテルに戻り休憩する。夕飯はメインバザールのレストランで食べる。インドに来たことだし、タンドリーチキンを注文してみた。なかなか美味い。ただ、これをおかずにインディカ米を食べるのはちょっと辛い。今回の旅行では、だいたい米よりナンやチャパティのほうが美味く感じられた。

食べ終わったらホテルへまっすぐ帰る。美味そうな揚げ物を売っている露店があったが、寄り道はしないことに。帰ってからシャワーを浴びようとしたが、ホテルでは当然のごとくお湯が出なかった。日本より気温は高いとはいえ水を浴びるには寒すぎる。体を適当に拭ってから寝ることにする。

ホテルの外ではなにかお祭りでもやっているのか、おっさんがよくわからない歌を歌っていて、その歌が大音量で室内まで響いてくる。夜9時くらいになっても収まらなかった。まったく騒々しい国だな、とか考えていたら眠ってしまった。

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