20世紀の名盤 20th Century Schizoid Discs by 浅治 良孝
執筆者 一覧 ●杉山 明弘 ●林川 一史 戸田 真智 ●石川 亨輔 ●浅治 良孝
[1] KING CRIMSON「Red」 KING CRIMSON
Red

Released: 1974.10
商品番号: PCCY-00667
  1. Red
  2. Fallen Angel
  3. One More Red Nightmare
  4. Providence
  5. Starless

初めてこのアルバムを聴いたときはCARCASSを聴いていた直後だったのですが、「こんなヘヴィな音楽がこんな時代にあるものなのか」ととてもびっくりしたのを覚えています。
M-1"Red"がどれだけ衝撃的だったかは言うまでもないでしょう。聴いて下さい。
M-5"Starless"はぼくの出棺時にかけて欲しい音楽No.1。

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[2] PINK FLOYD「Meddle」 PINK FLOYD
Meddle

Released: 1971.11.11
商品番号: TOCP-65557
  1. One Of These Days
  2. Pillow Of Winds
  3. Fearless
  4. San Tropez
  5. Seamus
  6. Echoes

FLOYDのアルバムの中で一番体の力を抜いて聴けるアルバムかも。
何もせずに目を閉じて聴きたいアルバムです。
アナログ盤で言う所のA面も牧歌的な小曲("One Of These Days"除く)がつまっててもちろん良いのですが最大の聴き所、且つぼくの最も好きな曲の一つが、B面すべてを使った"Echoes"です。
音響、歌詞、ゆるゆると進んでいくような展開、当時のFLOYDの一つの完成形がここにあります。

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[3] SOFT MACHINE 「Third」 SOFT MACHINE
Third

Released: 1970.6
商品番号: ESCA-5535
  1. Facelift
  2. Slightly All The Time
  3. Moon In June
  4. Out-Bloody-Rageous

構築されたジャズ・ロック路線にサイケ・ポップ時代の残り香が漂う名盤です。
唯一ヴォーカル入りのM-3"Moon In June"はこの曲をアルバムに入れることをメンバーに反対されたロバート・ワイアット(Ds,Vo)が泣く泣くポップな前半部分を一人多重録音したというエピソードつきですが、メンバー入りみだれての後半のインプロ・パートも含めて名曲です。
全4曲75分という大作ですがダレるところは一切ありません。

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[4] RCサクセション「シングルマン」 RCサクセション
シングルマン

Released: 1976.4.21
商品番号: POCH-1595
  1. ファンからの贈り物
  2. 大きな春子ちゃん
  3. やさしさ
  4. ぼくはぼくの為に
  5. レコーディング・マン(のんびりしたり結論急いだり)
  6. 夜の散歩をしないかね
  7. ヒッピーに捧ぐ
  8. うわの空
  9. 冷たくした訳は
  10. 甲州街道はもう秋なのさ
  11. スローバラード

一年半もの発売延期、そしてその後廃盤というRC不遇時代のアルバム。
今でこそ「名盤」の評判も高いですが、当時は本当にまったく省みられなかったらしい。
その後のRCがなかったらこのアルバムも時代に抹殺されていたのでしょうな。
耳学問ですが、心理学によると寂しい気分のときには無理して元気の出るような音楽を聴くよりもその時の気分に合わせた音楽を聴くのがいいそうです。
だからぼくはそんな時、M-10"甲州街道はもう秋なのさ"を聴くのです。

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[5] Manuel Gottsching「E2-E4」 Manuel Gottsching
E2-E4

Released: 1984
商品番号: MAR-96246
  1. E2-E4

いったん聴きはじめると途中で止めることができなくなるアルバム(59分の曲が一曲入ってるだけだから)。
ギター、シンセとリズムボックスのみで描かれるモノトーンなサウンドスケイプは砂漠や深海のような無限に続く風景を強く喚起させます。
寝る前とかによく聴きます。

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[6] 非常階段「蔵六の奇病」 非常階段
蔵六の奇病

Released: 1982
商品番号: ARCD-113
  1. マントヒヒ(大阪)  April 26,1981
  2. 磔磔(京都)  April 19,1981
  3. 創造道場(大阪)  November 3rd,1980
  4. 新宿ロフト(東京)  August 29,1981
  5. 慶応大学日吉315教室(神奈川)  June 27,1981
  6. 同志社大学至誠館24教室(京都)  November 27,1981

世界最古のノイズバンド、「キング・オブ・ノイズ」こと非常階段のデビューアルバム。
コンサート・スタッフの怒鳴り声も生々しいM-6など、当時のライヴ・テイクを6曲収録しております。
結成20周年とかでスペシャル・パッケージで出ました。
ある意味、ぼくが今まで聴いてきた音楽の中で一番パンキッシュでしょう。
日野日出志によるジャケット、ライヴの風景をコラージュしたインナーも秀逸。

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[7] Sonic Youth「Washing Machine」 Sonic Youth
Washing Machine

Released: 1995.9.27
商品番号: MVCG-19329
  1. Becuz
  2. Junkie's Promise
  3. Saucer-Like
  4. Washing Machine
  5. Unwind
  6. Little Trouble Girl
  7. No Queen Blues
  8. Panty Lies
  9. Skip Tracer
  10. The Diamond Sea

雪が降り積もると、だんだん静かになってそのうち何も聞こえなくなるように、ダイアトニック・コードなんか飛び越えてしまったギタ−ノイズが折り重なり逆に静けさを感じさせます。
それが極まったのが大作M-11"The Diamond Sea"。まるで天気のいい日曜日の午後みたいな歌のパートと一転して轟音ギターノイズなパートが絡み合うさまは感動的です。

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[8] MARILLION「Afraid Of Sunlight」 MARILLION
Afraid Of Sunlight

Released: 1995.7.5
商品番号: TOCP-8568(国内盤生産中止の恐れ有り)
  1. Gazpacho
  2. Cannibal Surf Babe
  3. Beautiful
  4. Afraid Of Sunrise
  5. Out Of This World
  6. Afraid Of Sunlight
  7. Beyond You
  8. King

これもまた寂しい、孤独な気分の時になると聴きたくなるアルバムです。 このアルバムの美しさをどんな言葉で表現すればいいのか。
M-8"King"を遠くに行ってしまったSに捧ぐ。

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[9] THE 3RD AND THE MORTAL「In This Room」 THE 3RD AND THE MORTAL
In This Room

Released: 1997.7.21
商品番号: MICP-10012
  1. Stream
  2. Monody
  3. So Pure
  4. The Wooden Lodge
  5. Sophisticated Vampire
  6. Harvest
  7. Did You
  8. Myriad of Peep-Holes
  9. Sort Of Invisible
  10. A Touch Of...
  11. Hollow
  12. The Barge
  13. Sleep

このアルバムもまた美しいと表現できる類いのものですが、でもそれは普通の美しさではなく、「病的な美しさ」とでも言う類いのものです。
例えるなら、頚動脈を絞められて酸欠で意識がなくなる寸前の気持ち良さというか...。
M-1"Stream"、M-6"Harvest"などを聴いていると、アン・マリー・エドヴァードセン(Vo)の歌声に遠くに連れて行かれそうになります。
機会があればデビューEP「Sorrow」や1st「Tears Laid In Earth」も聴いてみることをおすすめします。
一代目ヴォーカリストのカーリ・ルースラッテン(現在はフォーク/トラッド系のソロ・アーティストとして活躍)もいい声してますから。

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[10] TIAMAT「A Deeper Kind Of Slumber」 TIAMAT
A Deeper Kind Of Slumber

Released: 1997.5.21
商品番号: VICP-60034
  1. Cold Seed
  2. Teonanacatl
  3. Trillion Zillion Centipedes
  4. Desolate One
  5. Atlantis As Lover
  6. Alteration X 10
  7. Four Leary Biscuits
  8. Only In My Tears It Lasts
  9. Whores Of Babylon
  10. Kite
  11. Phantasma de Luxe
  12. Mount Marilyn
  13. Deeper Kind Of Slumber

北欧の片田舎でデスメタルバンドとしてスタートしたTIAMATの出世作かつ最高傑作。
このアルバムが出た当初、ヨーロッパのあちこちで「TIAMATの新作聴いた?」と評判になったそうです。
拡散傾向のあるゴシック・シーンにおいてこのバンドは特に個性的な音楽をやっているんじゃないでしょうか。
デスの要素は完全に払拭されて、エレクトロニクスの導入はもちろん、エスニックな薫りもほんのりするし、「訳わからん音楽はみんなプログレ」だと思ってる能無しライターが「プログレッシヴ・ロック的」とか言ったりするのもある意味当然でしょう。

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[11] SCORN「Gyral」 SCORN
Gyral

Released: 1995.11.21
商品番号: TFCK-88766
  1. Six Hours One Week
  2. Time Went Slow
  3. Far In Far Out
  4. Stairaway
  5. Forever Turning
  6. Black Box
  7. Hush
  8. Trondheim/Gavle

このアルバムからミック・ハリス(Ds,Electronics もう元NAPALM DEATHという肩書き抜きで聴きましょう)のソロ・ユニットとなったダブ/ヒップホップ・ユニットの4thアルバム。
もちろん1stのころはハードコア/グラインドコア/デスメタルの要素が濃かったんですが徐々に音楽性を変化させていき、今ではすっかりアブストラクトかつアンビエントな音楽性になりました。
めっちゃ暗い(でもその暗さがいい)ので友達、恋人と一緒にいる時には聴かないようにしましょう。

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[12] GODFLESH「Us And Them」 GODFLESH
Us And Them

Released: 1999.6.21
商品番号: TFCK-87187
  1. I,Me,Mine
  2. Us And Them
  3. Endgames
  4. Witchhunt
  5. Whose Truth Is Your Truth
  6. Defiled
  7. Bittersweet
  8. Nail
  9. Descent
  10. Control Freak
  11. Internal
  12. Live To Lose

GODFLESHの何が好きって、「重くて暗くて冷たい」ところでしょう。
人間のドラマーを使わないでわざわざリズムマシーンを使うのも、最近のアルバムでヒップホップやドラムンベースのリズムを導入しているのも、その冷たさを演出するためだと思うし。
というわけで相変わらず「重くて暗くて冷たい」ですがリズムがキャッチーになり、M-11、M-12ではメロディーも光るというアルバムです。
そしてジャスティン・ブロードリック(G,Vo)のギター、この人のノイズ感覚は大好きです。
ただギーギー鳴らしてるだけじゃなくて「重さ、暗さ、冷たさ」を醸し出すためにきちんと機能しているから。

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総評
本当は10枚に収めようと思っていたのですが予想よりもオーバーして12枚となりました。
まぁ客観的に批評してどうのこうのではなく、ぼく個人の思い入れたっぷりな「20世紀の名盤」になってしまいましたが、 これだったら「無人島レコード」とか「他の家財道具は差し押さえられてもこれだけは持っていくぞレコード」とかにした方が良かったかな…。
本当はここに紹介しきれなかったものもいっぱいあるんです。
まぁそれはまたいつかの機会にということで…。
21世紀もまたすばらしい音楽に出会いたいものですね。と水野晴郎的なありがちなまとめ方で締めくくっておきます。
text by Asaji Yoshitaka