最終的には、色塗りなんてどんな塗り方でもそれが自分の個性だといってしまえばいいんですが、水彩絵の具の性質を知っていると出来上がりを予想して絵を描けるので、いくつかの特徴を知っておくと便利です。
ウェット・オン・ウェット
水彩画で最もよく聞く言葉です。 簡単に言うとどれだけの水でどれだけ色がにじむのか考えて色を塗ろうということです。水彩画では始めにスケッチブックに水を引いて(平筆で水を塗る)湿らせてから、絵の具を塗るという技法をよく使います。
この水の量と色のつきかたの関係が水彩の命であると行っても過言ではないでしょう。水量によって効果が大きく変化するのは大きく分けて2つのことです。一つは「輪郭の様子」(絵の具の乗ったところと全く乗ってないところの境目のことです)もう一つは「色の混ざり方」です。
例を見てみる1(輪郭)
例を見てみる2(混ざり方)
湿らせ具合で絵の具のにじみが違うことが確認できたでしょうか?なれてくるとこうしてにじみをコントロールしていろいろできるようになるわけです。
<湿り方5段階>
水を引かない 水を引かない普通の状態です。
湿らせる 水がいくらか水分を吸う程度で、濡れてしまわない程度に。
少し濡らす 紙が吸収できるぐらい水を引くこと。
水を引く 紙の吸収力以上に水を引くこと。表面が光って見えるぐらい。
たっぷり引く 紙の上に水たまりができるほどたっぷり水を引くこと。
水が引けたらスケッチブックが乾かないうちに、違う色の絵の具を隣同士に塗ってみたり重ねて塗ってみたりしてにじみ方を確かめてみてください。
前の色が完全に乾いてから塗り重ねてみる
前の色が乾く前に別の色を塗り足すと、必ず色は濁ってしまいましたね。今度は前の色が乾いてから次の色を塗り重ねてみてください。(絵の具を溶く水は多めに)するとあまり色が濁らず色が塗れたと思います。しかも必ず下の色は浮き出てきますね。
光を表現する
水彩画では光を表現するのが得意だと前に書きましたがどうしたら光を最も表現できるでしょうか?紙上で最も明るい部分は、何も塗っていない部分です。ですからいくら白や黄色を塗り重ねていっても光って見えるようにはなりません。逆に水彩絵の具は塗り重ねても下の色が浮き出てしまうのでよけいきたなく暗くなるばかりです。
明るいを表現するには何を使うかというとなりの陰の部分を使うのです。色の対比を明確にすればするほど、暗い部分を暗くすればするほど明るい部分が目立ってきます。
また混色すると必ずだんだんと色はくすんで暗くなってくるので、失敗したと思ったら水で画面を洗ってティッシュペーパーで水ごとふきとってやると元に戻ります。
物を描く
輪郭をはっきりさせるときも陰の部分、陰の部分と塗り重ねていって輪郭を表現するといいです。しかしここでいきなり水気のない濃い絵の具(明度のない絵の具)で陰を表現するとおかしくなってしまいます。暗い部分ほど色を塗り重ねて色をくすませて(彩度を落として)いくのが良い描き方です。
基本的に、自分のやりやすいようにやっていけばかまわないと思います。
下書きを描く
鉛筆の線を生かして色は控えめにするとか、逆の場合とか描き方はいろいろありますよね。
物に固有の色を塗る
だいたいはじめに画面全体を湿らせてからいろをぬります。はじめの色は、うすーく、うすーく。
陰の部分から塗っていく
これは上に書いたとおりです。ここでもぼかしを使って様々な効果を出すことができます。
形を描く。
輪郭をどのようにするかです。だんだん色を重ねていきます。実は色を重ねる部分より重ねないで残す部分(明るい部分)を決める方が難しい。
ディテール(細部)を書き込み非常に濃い色を補強して仕上げる。
仕上げをします。
よく分からないことも多いと思います。そんなときには、やはりしっかりした本をお薦めします。この「水彩の描き方」を作るのに参考(というか丸写し)にさせてもらった本は、
「基礎からの水彩」 シリーズ 株式会社MPC
「The Art School」シリーズ 水彩 美術出版社
等です。本の中をぱらぱらと見てみると分かるように著者によって全く作風が違い(当たり前だ。)色の塗り方の説明にもかなり個性が見られます。自分が一番「描いてみたいっ!」と思った絵の本を選ぶのが一番だと思います。
本は、大きな本屋さんか、近所の図書館に行けば置いてあると思います。