―様々な状況において、敵に勝つために考えられた一連の動き―

居合道には様々な「(かた)」が存在する。ここでは、おすすめしたいカッコいい形をそれぞれ三つずつご紹介。
荘厳華麗な形の数々をご覧あれ。

全日本剣道連盟により定められた
全国共通の十二本の形。
まずはこれらを習得する。
基本にして重要。

江戸時代から受け継がれる、
全国に多くある流派の一つ。
敵の反撃や逃亡が想定された
十一本の個性的な形。

正座の部に比べ、より複雑な
場面が想定されている。
形が複雑にはなるが、
格好良さも格段に上がっている。

全日本

剣道連盟居合

七本目「三方(さんぽう)()り」

正面、左右から来る三人の敵を倒す。

ここを見てほしい!

  • 正面の敵を圧する目付け
  • 右側に片手で切りつける迫力ある姿
  • 「上段の構え」を取る特別な血振り

要義(形の想定)はこちら
前進中、正面と左右三方の敵の殺気を感じ、まず右の敵の頭上に抜き打ちし、つぎに左の敵を真っ向から切り下ろし、続いて正面の敵を真っ向から切り下ろして勝つ。

九本目「添え手突き」

左側の敵に切りつけ、さらに突きで倒す。

~ここを見てほしい!~

  • 突いた姿のカッコよさ
  • 九本目でしかしない独特な血振り

要義はこちら
前進中、左の敵の殺気を感じ、機先(きせん)を制して右袈裟(けさ)に抜き打ちし、さらに腹部を添え手で突き刺して勝つ。

一本目「前」

正面に座っていた敵を倒す。

~ここを見てほしい!~

  • 正座からの抜刀がカッコいい
  • 立ち上がりながら迫力ある血振り

要義はこちら
対座している敵の殺気を感じ、機先(きせん)を制して「こめかみ」に抜きつけ、さらに真っ向から切り下ろして勝つ。
全剣連居合 一覧

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    <正座の部>

  • 一本目「前」

    【要義】
    対座している敵の殺気を感じ、機先(きせん)を制して「こめかみ」に抜きつけ、さらに真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 二本目「後ろ」

    【要義】
    背後に座っている敵の殺気を感じ、機先(きせん)を制して「こめかみ」に抜きつけ、さらに真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 三本目「受け流し」

    【要義】
    左横にすわっていた敵が、突然、立って切り下ろしてくるのを「(しのぎ)」で受け流し、さらに袈裟(けさ)(肩から脇腹にかけて斜め)に切り下ろして勝つ。

  • <居合膝の部>

  • 四本目「(つか)()て」

    【要義】
    前後に座っている二人の敵の殺気を感じ、まず正面の敵の「水月(すいげつ)(みぞおち)」に「柄頭(つかがしら)」を当て、続いて後ろの敵の「水月」を突き刺し、さらに正面の敵を真っ向から切り下ろして勝つ。

  • <立ち居合の部>

  • 五本目「袈裟切(けさぎ)り」

    【要義】
    前進中、前から敵が刀を振りかぶって切りかかろうとするのを逆袈裟(けさ)に切り上げ、さらにかえす刀で袈裟に切り下ろして勝つ。

  • 六本目「(もろ)手突(てづ)き」

    【要義】
    前進中、前後三人の敵の殺気を感じ、まず正面の敵の右斜め面に抜き打ちし、さらに諸手(両手)で「水月」を突き刺す。つぎに後ろの敵を真っ向から切り下ろす。続いて正面からくる他の敵を真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 七本目「三方(さんぽう)()り」

    【要義】
    前進中、正面と左右三方の敵の殺気を感じ、まず右の敵の頭上に抜き打ちし、つぎに左の敵を真っ向から切り下ろし、続いて正面の敵を真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 八本目「顔面当て」

    【要義】
    前進中、前後二人の敵の殺気を感じ、まず正面の敵の顔面に「柄当て」し、続いて後ろの敵の「水月」を突き刺し、さらに正面の敵を真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 九本目「添え手突き」

    【要義】
    前進中、左の敵の殺気を感じ、機先(きせん)を制して右袈裟(けさ)に抜き打ちし、さらに腹部を添え手で突き刺して勝つ。

  • 十本目「四方(しほう)()り」

    【要義】
    前進中、四方の敵の殺気を感じ、機先(きせん)を制してまず刀を抜こうとする右斜め前の敵の右こぶしに「柄当て」し、つぎに左斜め後ろの敵の「水月」を突き刺し、さらに右斜め前の敵、続いて右斜め後ろの敵、そして左斜め前の敵をそれぞれ真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 十一本目「(そう)()り」

    【要義】
    前進中、前方の敵の殺気を感じ、機先(きせん)を制してまず敵の左斜め面を、つぎに右肩を、さらに左胴を切り下ろし、続いて腰腹部(ようふくぶ)を水平に切り、そして真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 十二本目「抜き打ち」

    【要義】
    相対して直立している前方の敵が、突然、切りかかってくるのを、刀を抜き上げながら退いて敵の刀に空を切らせ、さらに真っ向から切り下ろして勝つ。

無双直伝英信流

正座の部

五本目「八重(やえ)()き」

正面の敵に切りつけるが倒しきれずに反撃され、それを防いでとどめを刺す。

ここを見てほしい!

この形の一番のポイントは、敵の反撃を
刀で受けた姿のカッコよさ。この体勢を
脛囲(すねがこ)い」と言います。迫力満点ですね!
さらに、二種類の血振りを見ることが
できるのも八重垣のポイントです。

要義はこちら
正面に座っている敵の殺気を察知し機先を制して敵のこめかみに真一文字に切りつけるも届かず、速やかに左足を踏み出して切り下げ、納刀途中、敵が殺傷不十分で倒れた体勢から右(すね)に切りつけてくる(別の敵とも言う)ので受け止め、左膝を着け右足を大きく出して切り下ろして勝つ。

九本目「月影(つきかげ)

右側から敵に切りつけられ、その手首に抜きつけてから切り下ろして倒す。

~ここを見てほしい!~

月影とは現代語で「月の光」という意味。
敵の手首に抜きつけたまっすぐな刀が
差し込む月の光のように見えることから
名づけられた、とても美しい形です。

要義はこちら
正面に対し左向きに座っている時、敵が正面より切りかかってくるのでその小手に抜きつけ、さらに追撃して真っ向から切り下ろして勝つ。

八本目「附込(つけこみ)

敵の攻撃を避け、二回切りつけて倒す。

~ここを見てほしい!~

ここでしか見られない特別な血拭いに
ぜひ注目してください!
実は素手ではなく、手拭いなどの布で
血を拭き取っているのだとか。
敵を倒したあともカッコいい形です。

要義はこちら
正面に向いて座っているところに切りつけてくる敵の刀を受け流し、真っ向から頭上に切りつけるも敵が引いたので届かず、即座に踏み込んで真っ向から切り下ろして勝つ。
正座の部 一覧

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  • 一本目「前」

    【要義】
    正面に座っている敵の殺気を察知し、機先(きせん)を制して敵のこめかみに横一文字に切りつけ、さらに真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 二本目「右」

    【要義】
    正面に対して右向きに座り、左の敵に向き直ると同時に敵のこめかみに横一文字に切りつけ、さらに真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 三本目「左」

    【要義】
    正面に対して左向きに座り、右の敵に向き直ると同時に敵のこめかみに横一文字に切りつけ、さらに真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 四本目「(うしろ)

    【要義】
    正面に対して後ろ向きに座り、後ろの敵に向き直り敵のこめかみに横一文字に切りつけ、さらに真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 五本目「八重垣(やえがき)

    【要義】
    正面に座っている敵の殺気を察知し機先(きせん)を制して敵のこめかみに真一文字に切りつけるも届かず、速やかに左足を踏み出して切り下げ、納刀途中、敵が殺傷不十分で倒れた体勢から右(すね)に切りつけてくる(別の敵とも言う)ので受け止め、左膝を着け右足を大きく出して切り下ろして勝つ。

  • 六本目「請流(うけながし)

    【要義】
    正面に対し右斜めに座っているところ、正面の敵が機先(きせん)を制して切りかかってくるので前に身を沈めて外し、二刀目を受け流して真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 七本目「介錯(かいしゃく)

    【要義】
    正面左前方に左向きに座っている切腹する者を介錯する。

  • 八本目「附込(つけこみ)

    【要義】
    正面に向いて座っているところに切りつけてくる敵の刀を受け流し、真っ向から頭上に切りつけるも敵が引いたので届かず、即座に踏み込んで真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 九本目「月影(つきかげ)

    【要義】
    正面に対し左向きに座っている時、敵が正面より切りかかってくるのでその小手に抜きつけ、さらに追撃して真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 十本目「追風(おいかぜ)

    【要義】
    立った姿勢で、逃げる敵を小走りに追いかけて横一文字に抜きつけて、さらに真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 十一本目「抜打(ぬきうち)

    【要義】
    正面に対座する敵の殺気を察知し機先(きせん)を制して切り下ろして勝つ。

無双直伝英信流

立膝の部

九本目「滝落(たきおとし)

敵に背後から(こじり)を掴まれるが振り払って相手を突き刺し、切り下ろして倒す。

ここを見てほしい!

背後から刀を掴まれるという不意打ちに
対応した珍しい形です。
流れるような美しい動作に迫力ある
突きが映えるのが魅力です。

要義はこちら
後ろの敵に「こじり」をとられたので立ち上がりながら鯉口(こいくち)を左手で押し下げ、敵を身窮め振り払い、刀を前に出しながら体を開いて後ろの敵を見て水月を突き刺し、すかさず引き抜き真っ向から切り下ろして勝つ。

五本目「山颪(おろし)

柄を取ろうとするのを避け、押し倒して胴を切って倒す。

~ここを見てほしい!~


なんといっても迫力がすごい!
敵に切りつけたり押し倒したり、
刀の軌道にも注目してみてください。

要義はこちら
右の敵が柄をとりにきたのでこれを外し、その顔面(眉間)を柄頭(つかがしら)で打ち、敵が怯むところを右袈裟に抜きつけ、さらに右に押し倒しその胴に打ち下ろして勝つ。

四本目「浮雲(うきぐも)

右隣り二人目に敵がおり、隣の人を押し出して敵を倒す。

~ここを見てほしい!~

敵が隣にいるのではなく、さらに
その隣から攻撃を仕掛けられる独特な形。
他の形とは一味違った細かい動きが
見られ、隣にいた人を押し倒すことも
想定されている。

要義はこちら
前後左右に並んで座っているとき、右隣り二人目の敵が柄を取りにくるのを立ち上がって外したところ、中間のものが立ち上がったのでこれを押し出しながら初めの敵に刀を右斜めに抜きつけるが充分に切れず、急いで左手で刀の峯にあててさらに右に引き倒し真っ向からその胴に切り下ろし勝つ。
立膝の部 一覧

 ★気になる技をクリック!

  • 一本目「横雲(よこぐも)

    【要義】
    正面に座っている敵の殺気を察知し、機先(きせん)を制して敵のこめかみに横一文字に切りつけ、さらに真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 二本目「虎の一足(いっそく)

    【要義】
    対座する敵が右(すね)に切りつけてくるので受け止め、(ただ)ちに上段に振りかぶって真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 三本目「稲妻(いなづま)

    【要義】
    正面から敵が機先(きせん)を制して切り下ろしてくるので素早く手首に応じて真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 四本目「浮雲(うきぐも)

    【要義】
    前後左右に並んで座っているとき、右隣り二人目の敵が柄を取りにくるのを立ち上がって外したところ、中間のものが立ち上がったのでこれを押し出しながら初めの敵に刀を右斜めに抜きつけるが充分に切れず、急いで左手で刀の(みね)にあててさらに右に引き倒し真っ向からその胴に切り下ろし勝つ。

  • 五本目「山嵐(おろし)

    【要義】
    右の敵が柄をとりにきたのでこれを外し、その顔面(眉間)を柄頭(つかがしら)で打ち、敵が怯むところを右袈裟(けさ)に抜きつけ、さらに右に押し倒しその胴に打ち下ろして勝つ。

  • 六本目「岩波(いわなみ)

    【要義】
    左の敵が襲いかかってきたので膝を上げつつ低く刀を抜いて敵に向き直り、水月(すいげつ)を突き刺し、さらに右に押し倒しその胴に打ち下ろして勝つ。

  • 七本目「鱗返(うろこがえし)

    【要義】
    正面に対して右向きに座り、左の敵に向き直ると同時に敵のこめかみに横一文字に切りつけ、さらに真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 八本目「浪返(なみがえし)

    【要義】
    正面に対して後ろ向きに座り、後ろの敵に向き直り敵のこめかみに横一文字に切りつけ、さらに真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 九本目「滝落(たきおとし)

    【要義】
    後ろの敵に「こじり」をとられたので立ち上がりながら鯉口(こいくち)を左手で押し下げ、敵を身窮め振り払い、刀を前に出しながら体を開いて後ろの敵を見て水月(すいげつ)を突き刺し、すかさず引き抜き真っ向から切り下ろして勝つ。

  • 十本目「真向(まっこう)

    【要義】
    正面に対座する敵の殺気を察知し機先(きせん)を制して切り下ろして勝つ。