1.ケーナを持つ
・2種類のケーナ
・穴の押え方
・押え方のタブー
2.姿勢について
・正しい姿勢とは
・概ね正しい姿勢
ケーナにはボリビア式とアルゼンチン式の2種類があります。この2つは音色や長さなど多くの違いがあり、持ち方も異なります。
ボリビア式は裏の穴を左手親指で押さえ、表の穴を上から左手人差し指、中指、薬指、右手人差し指、中指、薬指で押さえます。対してアルゼンチン式は裏の穴を左手親指で押さえ、表の穴を上から左手人差し指、中指、右手人差し指、中指、薬指で押さえ、一番下の穴はボリビア式に持ち替えたり小指を使ったりして押さえます。
とはいえケーナ奏者たちの間でも持ち方はまちまちで、ややこしいことにボリビア式ケーナをアルゼンチン式で持つ人もいれば、その逆もまた見られます。持ちやすいように持てばよいと思うのですが、個人的にはボリビア式の持ち方がおすすめです。市場に流通しているケーナはボリビア式が多く、ボリビア式の持ち方のほうが容易だからです。
指のどの部分を使って穴を押えるのかも人によってまちまちです。人によって指の長さも使っているケーナも異なり、それぞれ適した押え方もまた異なります。
どのような押え方をするにしろ、最も大切なことは脱力をすることです。指が力むと素早く動かすことができず、伴奏から遅れたり早い旋律を演奏できなくなったりします。
そこでおすすめしたいのが下の図のような押え方です。指の第一関節がちょうど穴のまんなかに来るように押え、第三関節を動かして穴を閉じたり開いたりします。
この押え方であれば指が力むことはありません。また半音を出すときに穴の半分ほどを開きますが、穴を開閉する動作と同じ動きで穴の開き具合を調節することができるので合理的です。
小指は使いませんが、注意が必要です。小指は反らさず、ゆったりと内側に自然なカーブを描くようにして脱力させましょう。小指が反っていたとしたら他の指にも余計な力が入ってしまっている証拠です。
ではケーナを吹くにあたって正しい姿勢を作ってみましょう、といきたいところですが、残念なことにケーナに限らず管楽器を吹く姿勢には数多くの流派があり、唯一無二の正しい姿勢というものは存在していません。ある人は足を肩幅に開けといい、ある人は肩幅より大きく開けと言います。
それはなぜかと言えば、人によって適した姿勢は異なるからです。
そもそも正しい姿勢の正しさは安定して息を出せることです。人それぞれ体格や背骨の形は異なりますから、とうぜんそれぞれ安定して息を出せる姿勢も異なります。そのため、自分に適した姿勢を探す努力が必要となるのです。
とはいえ「じゃあお前が安定して息を出せる姿勢で吹け」と言われても困ってしまうと思うので、だいたいみんなある程度息を安定して出すことができる姿勢の作り方を紹介します。以下を参考にしてあなたに適した姿勢を整えてください。
①立ちます。
②足を肩幅ほどに開きます。肩幅の大きさを気にしている人はちょっと狭めに開いてもかまいません。
③首から下の力を抜き、自然な態勢を作ります。このときだらーんとしてはいけません。かといってシャキッとしてもいけません。背筋を伸ばしますが、胸や肩は張らないようにしましょう 。
④ケーナを持ち、吹き口を口元に当ててみましょう。詳しい当て方は後述するので、とりあえずは吹き口のあたりを唇に当てるだけでかまいません。このとき脇はやや開きますが、この開き具合は特に個人差が出やすい部分です。肩に力が入らない開き具合を見つけましょう。
⑤顎をやや引きます。顎を上下に動かすとうなじのあたりの筋肉も動いていることが分かるかと思います。この筋肉に負担がかからない顎の位置を見つけましょう。
⑥目線は真正面かやや下に向けましょう。具体的な角度は自分と目線の着地点との距離から三角関数を用いて求めることができます。
以上が概ね正しい姿勢の作り方ですが、ポイントは脱力です。脱力すべき箇所を脱力し、力を込めるべき箇所に力を込め、それによって柔軟に腹を使うことが安定して息を出すコツです。そのために、まず余計な力を込めることが無いような姿勢を以上を参考にして探してみてください。