全日本大学駅伝予選会試合内容

〈試合内容〉  〈選手感想

今年の枠は2つ。四日市と愛工大には実力で少し勝てない。しかし3位には入りたい。上位2校に何か起これば、5年前のように行けるかもしれないという希望があった。

1区 松井(M2) 藤田(3)
 長い故障に苦しんだ藤田だが1ヶ月前からやっと復帰した。まだ足に不安があるが、とりあえず2周区間なら何とかなりそうだった。松井は起用するつもりはなかったが、4年生の山田の故障が長引いて1名足りなくなった。松井にするか渡辺伸にするか最後まで迷った末、経験をかって5日前に松井に決定した。

 暑さを感じる中、スローでレースは始まった。1kmが3分20秒、2km、3kmでもあまりペースが上がらない。1周目は14分程度で大集団で通過していった。もちろん有力校はすべて入っている。藤田は前の方でまだ余裕がある。残念ながら松井は10秒程度の遅れで、余裕はあるものの先頭集団がペースアップした場合に1分の遅れは覚悟した。2周目の中間点あたりから急激にペースアップし、藤田も遅れ始めた。そのままレースは流れ、藤田は前が見える位置で森本にたすきを渡した。松井は何とか及第点の走りで伊藤につないだ。1区は名商大以外はブレーキなく、愛工大と四日市大の有利な展開で始まった。

2区 伊藤(4)、森本(2)
 2区は伊藤と森本。本来なら山田を起用して、七大戦1500mに活躍した森本が1区を走れれば最高なのだが、そんな完璧に事は運ばない。1周目が終わって、森本は藤田の貯金を守っている。しかし少し苦しそう。後の集団に追いつかせて一緒に行かせたほうがよかったのかもしれない。もう一人の伊藤は集団に追いつき、いい走りをしている。伊藤と森本が併走する形になれば最高なのだが、おそらく逆転して来るだろう。2周目の通過は伊藤が前で、森本は集団に抜かれてかなり苦しそうだった。結局3周目で伊藤は順位を上げて狭間に渡した。大学院入試等の影響で、不調な時もあった伊藤だったが、好走したといえる。灼熱の七大戦で入賞できれば、この予選会では勝負できるのだろう。そういう意味でも山田の故障は痛い。伊藤の記録は名大初の40分台で素晴らしいが、もうひとつ抜け出すこともできたような気がする。

 一方の森本は伊藤に抜かれた後は苦しんだ。しかし夏場の練習量の裏づけで粘ることができた。最後はアップアップだったが必死さが伝わる走りだった。苦しくなっても頑張って粘れるところに森本のよさがある(苦しそうなふりだけかもしれないが)。容姿に反してスマートとはいえない走りだが、根性を見せたランだった。

 この区間では四日市大の紀平が快走し、永井というエースを故障で欠きながらも代表切符を確実にした。

3区 中村(2)、狭間(2)
 中村は絶好調。40分台を期待していた。一方の狭間は気合が入っていたものの、最後の調整前に風邪を引いてしまい、最後まで悩んだ。本人は走りたいばかりだったが、風邪を引いていては大ブレーキの危険性もある。レース当日のスタート前まで選手変更が可能だ。スタートに間に合わない私は、外部から冷静に見ることの出来る嘉賀に判断を任せ、連絡を待った。熱があれば当然渡辺伸に変更だが、意欲をかって狭間でいきましょうとの判断を了承した。スタートを見て不安なまま見送った。1周目が終わった時点では中村が狭間を逆転してかなり前で来ると思って、心の準備をしていた。

 1周目は、愛工大と四日市大の4チームが前でレースを進め、完全に抜け出した。3位以下を名大、中京大、大同工大、名商大が1分以内で競っている展開だった。中村は好調そのもの。順調な出足で集団に追いつき前をうかがっている。「積極的にいけ」と中村を激励し、その後狭間に声をかけようと振り返ったが、狭間は中村のすぐ後ろにいて表情を確認できなかった。2周目に入っても中村のピッチは落ちない。着実に前を見据えて上がっていった。一方狭間は苦しくなってきた。2周が終わった時点で、中村は前の四日市大の遅いほうを捉える勢いである。狭間は大きくペースダウンしてしまった。心配になって逆走していった。やがて上位3チームが行ったあと、中村の姿が見えた。四日市大を抜くのに手間取っていた。

 一方狭間は中間点のペースダウンが大きかったので、名商大にも抜かれていたが、最後にもう一度頑張って走っていた。心配していたたすきが途切れる心配はなくなった。風邪の影響で1分程度のブレーキだろうが、悪い中でもがんばったと評価したい。中村は7人抜きの好走だった。記録的にはもう少し上を期待していたのだが。3区が終わった時点で愛工大、四日市大とはトータルで5分程度の差がつき全日本の可能性がほとんどなくなった。

4区 内藤(M2)、 稲垣(4)
 内藤には当然信頼を置いていた。藤田、森本、中村、と並べたのだから2分程度の差は逆転して総合でテープを切ってほしいと願っていた。稲垣には冷静に14分で回ってきて、56分。2年前の瀧川の記録を目標にしていた。内藤がスタートしたのは、先頭の愛工大が行ってから3分30秒たっていた。逆転は難しい。1周目から四日市の日下部とずっと併走している。13分ちょっとのハイペースだが、前とは大きく縮まらず、日下部も離れない。そのままの形で3周が終わってしまった。逆に最後の1周になって、日下部が内藤の前に出て行った。四日市の監督がスピードのある日下部の勝利を確信したような態度だった。悔しいが3周が終了するまでここまでついてこられれば、そうなる展開が容易に考えられる。日下部はインターハイ入賞者だ。 しかし内藤は強かった。最後の1周でもう一回ペースをあげて日下部を離し、前の愛工大と四日市大をあきらめずに追った。愛工大の先頭牛山が歓喜のテープを切った後、1分足らずで最後の直線に姿を見せたのは内藤だった。鳥肌が立った。先頭との差1分ちょっとに詰めて内藤が2位でゴールした。53分05秒は、4周での区間新記録だった。

 稲垣はどんな展開でも一人で冷静に走れる。前の集団でのハイペースに巻き込まれるよりも、冷静に走ってほしかったのでこの展開は予想通りだった。3周までは目標どおり行ったが、最後の1周でペースダウンしてしまった。もう1段階のレベルアップが望まれるが、今回関しては実力を出し切ったと評価していいだろう。名大はトータルで、実力どおりの3位だった。

女子 岸上(4) 小山(1) 三谷(2)

 残念ながら今回は、6人そろわず上記の3名のオープン参加になった。来年を考えて三谷が2周に回った。岸上は走る前からトップでたすきをつなぐことができるかもしれないと考えていた。そのとおり実力を見せて中京大二人を抑えてトップでたすきを小山に渡した。小山も臆することなく実力を出し切り、中京大2人に抜かれたものの、見える位置で三谷に継いだ。あと5kg減量できれば大きな飛躍ができるだろう。三谷は2周が不安そうだったが、血液検査の結果も好調で心配していなかった。力走し、目標記録は上回ってゴールした。来年もし有力な1年生が、予定通り入学すれば、大阪が本気で狙える。