第32回 一橋戦試合内容
・男子
100m 後藤(3)、今枝(淑2)、谷(1)
寸評担当の後藤が先頭で走っていたので今回は各選手の自己寸評としたい.
後藤の自己寸評.中間疾走のフォーム改善の段階であったため,スタートの関連が途切れ,出だしの遅れは覚悟していた.しかし,必要以上にダラダラした優柔不断な走りになってしまったことを反省している.これも来年の10″3台へのステップとしてお許しいただきたい.
今枝の自己寸評.アップの段階から初速が鈍く,案の定レースでも出遅れた.しかし,とらえられない差でもなかったので気持ちは切れなかった.徐々に詰めていき二位と並んだと思ったところでゴールだったが僅かに届かなかった.全体的に浮き足だった走りだった.上半身と下半身のバランスが悪く後半,顎が上がってしまった事から,下半身と同等の上半身の筋力(特に腹筋と腕振りに必要な部位を重点とした)の強化を今後の課題にしていきたい.
谷の自己寸評.最近は不調が続く.直前にパート長に指導された足の上げ方が利いたのか大学ベストに近いタイムで五位.これがスランプからの復調の兆しだと期待したい.
400m 吉村(3)、可知(1)、宮地(名市1)
が出場.遠藤(3)の練習の進む具合との関連が難しく,選考でかなりの時間を要した.展開としては可知の優勝争いが期待されたが,後半の粘りにやや不足が見られ優勝を逃してしまった.宮地は故障以降やや調子を落としていた.51秒台中盤のタイムを期待していたが足らずに終わった.吉村は夏以降の継続的な練習がうまく結びつき,前半からの積極的な展開でシーズンベストを大幅に更新することができた.気楽に自分自身を見つめ練習を継続できたものが各自の絶対的目標を達成できることを改めて認識させられたレースであった.
800m 渡辺一章(2)、緑川(1)、中村(1)
1500mの結果から見て有利に見えた。スタートして一橋の一人が先頭で引っ張り緑川、渡辺、中村の順でついていく。1周の通過が61秒と遅く、名大にとってはいい展開である。1500mの状況から中村が優勝するのではと思っていたが疲労が残っていて苦しそうだった。2周目に入って、引っ張っていた一橋の選手が落ちてきた。そして先頭が緑川に替わった。第3コーナーから渡辺が優勝を意識して先頭に立つ。しかし爆発的なスパートではないために大きく引き離すことができない。最後の直線に入って満を持して4位につけていた一橋の選手がラストスパートを決め優勝した。渡辺は勝負所を少し遅らせるべきだったのだろう。七大戦では最後よれていた緑川だったが今日は最後まで持って3位に入った。やっと合格点のやれるレースになった。期待の大きかった中村だったが1500mのダメージが残ったままで4位にはいるのが精一杯だった。
1500m 稲垣(3)、森本(1)、中村(1)
名大からの出場は稲垣と1年生で、苦しい戦いが予想された。まず稲垣が先頭に出て65秒で引っ張る。中村、森本の順でついていく。2周目はペースダウンし、通過は67秒もかかるが、意外にも一橋の選手が苦しそうに少しずつ遅れていく。3周目に入って稲垣が苦しくなってきた。2位につけてきた中村だけが余裕ありそう。森本の力からいけば優勝の最有力候補だが、1週間前に父を亡くしたばかりで精神的にもきつい。練習にも空白期間があり厳しい表情になっていた。残り250mから余裕のあった中村がスパートして楽々優勝。素質の片鱗をやっと見せた。稲垣も2位に入り責任を果たした。森本はスピードも負けん気もあるので、最後の競り合いは心配していなかった。そのとおり最後の直線で競り勝ちスコンク勝ちを決め対校戦勝利に大きく貢献した。
5000m 稲垣(3)、伊藤(3)、藤田(2)
山田がシンスプリントで走れない状況ではこれがベストメンバーである。腹筋に不安のある稲垣だったが2種目出ざるを得ない。先頭を藤田が元気に引っ張る。暑い状況だったが、静岡の記録会で15分05秒で走って、復活の手がかりをつかんだと思っていた。ラップは予定どおり71から72秒を刻んでいる。一橋の選手が一人ついて来るが、1200mをすぎた辺りから離れ始めた。伊藤、稲垣は自分のペースを守っており、いい展開になってきた。しかし藤田も2000mではすでにきつかったようで、3000m付近から大きくペースダウンした。七大戦、予選会と同じ最悪のレースだ。結局一橋に抜き返されて、15分台ギリギリの記録の2位に終わった。当然スコンク勝ちを狙っていたであろう伊藤、稲垣も、優勝が見えて元気になった一橋の選手との差が詰まらないので、焦りも出てきて最後は大よれの情けない走りで16分台に終わった。
110mH 森田(2)、金田(2)、前里(1)
前里は今シーズン二校対抗戦全勝を飾ることができた.タイムは14秒台の走りを期待していたが足らず.ベースとなるスプリントの強化の必要性を感じた.森田も前を行く前里を一台ごとにつめていくがわずかに届かず.金田は前半の展開はかなりの積極性が見られたが,ハードルの高さに阻まれ,後半はリズムを崩してしまった.15秒台では二校対抗レベルでは通用しても,七大戦・インカレレベルでは通用しない.14秒台を目指して各自分析していく必要があろう.
4×100mR 後藤(3)、谷(1)、遠藤(3)、今枝(淑2)
七大アンカーをつとめた後藤の怒涛の追い込みを思い出して欲しい.確かに心強い走りであるが,あれでは展開として幼稚であるという判断から,今回は,後藤-谷-遠藤-今枝という変則的オーダーで挑んだ.コーナーと直線の担当を入れ替えたのである.1走から2走へのバトンでつまり,その分の借金を3走・4走でつめていくものの,着差ありの同タイムでのゴールとなった.「後藤がアンカーならば・・・」ではなく,バトンパスの更なる上達が必要であるということだ.東海学生秋季に向けて更に精進してもらいたい.タイムも個々人のもち記録から考えた予想からは遠く及ばないものであった.バトン練習を通常練習に織り込む構想も練らねばならないであろう.
4×400mR 谷(1)、遠藤(3)、後藤(3)、可知(1)
谷-遠藤-後藤-可知のオーダー.一橋との個々人の走力の差は否めない.展開としていかに一橋に迫るかという点がポイントである.このような観点でオーダーを組んだ.谷はスタートから前半をかなり突っ込んでいった.このままホームストレートに入り流を崩さずにくるかと思ったが,やはり力尽き,大幅にダウンした形で2走の遠藤へ.距離的な不安がかなりあったが全体としてまとまったレースは展開できた.3走の後藤の時点で距離差は約15m.後藤が逆転し可知にわたすことで逃げ切れるかもしれないと誰もが感じたであろう.しかし相手も簡単には抜かせてくれない.ひたひたと差を詰めるものの3~5m程度詰めきれずアンカーの可知へ.積極的に差を詰めていくものの,その積極性が災いし,第3コーナーでアウトラインを取ってしまい,体力を浪費してしまった.ちなみにα(m)だけ通常より外側を走ると1コーナー(半周)でαπ(m)外側を走ることになる.つまり可知はここで2レーンを走ったとすると1.25π=3.925 約4m余分に走ったことになる.実際には心理的に更に距離は長くなり負担は大きなものとなる.今回は展開で僅差をつめられなかったという反省点が残った.タイムとしてはほぼ予定通りだが,反省点は多い.
走高跳 米田(3)、後藤(2)、森田(3)
3名とも、他種目出場で忙しく、集中しにくい状況であった。四継を走った直後の後藤は、助走のスピードを上手く上方への浮力に変える事が出来ず、バーへ突っ込んでしまい、1m80の記録に終った。一方、走幅跳を制し、好調の米田はベストタイの1m80をクリアし、85でも非常に惜しい跳躍を見せた。槍投げと走高跳の間を行ったり来たりの森田は、1m80の跳躍を一度落とすなど不安定な跳躍が続いたが、最終的には1m90をクリアし、2位に入った。結果、2位、3位、4位を取り、充分に役割を果たす事が出来たが、3名とももう一つ上の高さは飛べたはずである。その点では少し課題が残った。
棒高跳 福田(2)、森田(2)、端浦(2)
福田、森田、端浦の2年生トリオが出場。福田は2m80の自己タイを跳んだが、次の90が跳べず惜しくも自己記録更新ならず。助走はいいので、手をしっかり出してポールを進めながら跳躍することができるようになれば、3mはすぐ跳べるようになるであろう。森田、端浦は3m80から試技開始。この高さを端浦は1回目に成功。空中動作にキレが見られた。一方森田は1回目、2回目ともに跳躍がもぐり跳べず3回目にようやくクリア。4m00は森田は1回目に余裕を持ってクリア。端浦は3本とも跳躍がバーの方へ流れ脱落。この時点で森田と一橋の選手1名が残り続く4m10の高さを森田はパス。一橋の選手はこの高さをクリアできずバーは4m20に上がりこれを森田は1回目に跳び優勝が確定。更に20cmバーを上げ自己ベストとなる4m40を2回目にクリア。次の高さ4m50は3本とも跳べず試技終了。端浦の今後の課題は、走力アップと早く15Fのポールに馴染むことであろう。森田は、高い位置への踏み切りと無駄な跳躍本数を減らすことである。来年のフィールドの得点は跳躍陣の成長にかかっているので、今季中にポール陣は各々もう10cm、20cm記録を伸ばしてもらいたいとこである。
走幅跳 米田(3)、鈴木(2)、福田(2)
持ち記録の飛びぬけた選手はおらず、安定した記録がご期待できそうな選手が揃い、まず勝ち越せるだろうと思われた種目。まずまずの追い風が吹く中競技がスタートした。前半、名大の選手は良いとはいえないまでも、まずまずの記録を出し1,2,3位で後半へ。後半で一橋の選手に3位を取られたものの、その後はきっちりと順位を守り、米田(3)が5本目になかなかの跳躍を見せ優勝を決めた。点数も7点勝ちとなり、うれしい勝利であった。まだまだ力不足は否めないがこれからの練習次第で1まわりも2まわりも変わってくるだろう。冬季練習での走力と筋力の鍛錬をこれからの課題に、質の良い練習を心がけてほしい。
三段跳 米田(3)、鈴木(2)、福田(2)
一橋には実力のある選手が一人いたが、不調ということから名大の圧勝と思われた。競技は向かい風という悪条件の中始まった。一橋は予想通り好記録を残すような選手はおらず、順調に名大のスコンク勝ちに向かっていた。しかし、多種目にわたる出場の疲れがたまったのか、三選手とも記録が伸ばせないでいた。結局、競技は低調なまま終了し、名大は2,3,4位に終わった。
砲丸投 中村(4)、津村(2)、野田(1)
戦力分析を見る限り中村の優勝は確実であったため、津村と野田が一橋の選手をどれだけ抑えられるかが勝負のポイントであった。中村は危なげない投擲を見せ、自身の持つ大会記録を更新して難なく優勝を果たす。しかし津村と野田は今ひとつ記録を伸ばせず、終わってみれば戦力分析通りの結果となってしまった。津村が自己ベストを更新してさえいれば勝ち越すことが出来ただけに悔やまれる。野田は今回初めてポイント選手としての出場であったため気負っている部分も見受けられたがまだまだ伸びる要素があり、今後に期待したい。総評としては、大エース中村がいなくなってしまう来期を戦い抜くには、投擲パート員のより一層の努力が必要だということを再認識させられた試合であった。
円盤投 中村(4)、鈴木(2)、櫻井(1)
新体制になって初の対校戦、しかし一橋の戦力の方が上のため、4年生の中村にポイント選手で出場してもらう。その中村は自身の持つ大会記録の更新を目指すが惜しくも更新はならなかった。さて、これからがんばらないといけない円盤専門の櫻井は、足の怪我もあり6位と実力を出し切れなかったが、これからがんばってくれるだろう。渉外主務の仕事が忙しくほぼノーアップになってしまった鈴木は、動きが悪く5位。ファールでは、なかなかの距離が出ていたのでこれからだろう。また、オープンで二年の津村が自己ベスト。鈴木、櫻井、津村の力は拮抗しており、大エースの穴を埋めるべくこの冬のがんばりに期待したい。
やり投 鈴木(2)、森田(2)、津村(2)
毎度、お馴染みの鈴木と森田に加えて、来年を見越し、津村が出場。やりが専門の鈴木は、あまりアップができなかったのを考慮してか、かなり遅い助走だったが、一投目で足がつり、まったく記録が残せなかった。かなりのスピードから投げる本来の投げを取り戻してほしいともに、渉外主務の仕事との兼ね合いをしっかり考えてほしい。肘の痛くならないような投げを練習中の森田は、肘が下がっているのでここをしっかり直したい。もう少し時間が必要である。記録は悪かったが徐々に身についてくればきっと楽に自己ベストが出るだろう。対校戦でのの鍵を握る津村は、もう少し練習が必要である。クロスステップを覚えて、来年にはきっと豪快に、飛ばしてくれるだろう。
・女子
100m 藤原(2)、森下(1)
持ち記録からいっても厳しい戦いが予想された。この種目はとにかく相手が強い。だが、相手のスピードに乗って好記録を狙うチャンスでもある。スタートから数メートルで藤原は3人から少し遅れをとり、追う形になったが最後まで粘りのある走りでゴール。確実に力がついてきている走りで、記録もベストを出すことができた。一方森下はスタートから一橋の二人と互角に走り、50mぐらいから羽鳥が抜き出て小森との接戦となる。最後には抜かれてしまい結果は3位となるが、まだ一年生の森下は自分の力を完全には取り戻しておらず、まだまだ伸びる可能性を秘めた走りだったように思う。冬季練習で体力をつけ、粘りのある走りを期待したい。一橋は二人とも4年生だが、名大の二人にはまだまだ時間があるのでこれからの活躍が楽しみである。
400m 荒俣(3)、久野(2)
一橋は58秒台を持つ選手がおり、力的に1位は難しいが2位3位を取るのが目標であった。
スタートから一橋の羽鳥(4)がとび出し、残り三人が追いかける展開。荒俣は前半から積極的にとばす。久野は後半カーブで内側から2位に浮上し、ラスト伸びがなかったがそのまま2位でゴール。荒俣は後半激しく3位争いをするが、一橋の小森(4)ゴールでかわされ、同タイム着差ありで4位という結果に終わった。荒俣はスピードをもっているので、今後400mを走る機会があるならもっと高記録が期待できるだろう。久野はスピードがまだまだ不足。これからの頑張りに期待したい。
1500m 岸上(3)、三谷(1)
総合では接戦が予想され、ここはスコンク勝ちしなければならない。岸上はスタートから先頭に立ち、実力を見せつけ一人旅で楽勝した。三谷は入りが少し速く、最後の1周は大きくペースダウンし、目標の4分台からは遠かった。しかし一橋とは練習量、質の違いを見せつけて楽々スコンク勝ちした。
4×100mR 森下(1)、若村(1)、荒俣(3)、久野(2)
今回は七大戦の反省をふまえ、バトン練習をしっかりして挑んだ試合であった。1走森下はよいスタートを見せ、2走若村へつなぐ。若村も本調子ではないとはいえ好調に走り、3走荒俣へバトンパス。荒俣は初の3走であったが快調な走りをし、4走久野へ。久野も着実に走り、見事一橋を抑えて一位でゴールイン。出した記録は50”13の名大新記録であった。バトンパスもまずまずうまくいき、納得のいくレースであったといえるであろう。
走幅跳 荒俣(3)、小林(1)
荒俣は1,2本目は400mの疲れを見せ、いつもの走りができていなかった。しかし、その後は徐々に調子を取り戻し、5本目には踏切板に乗らずに5m40を超えるジャンプを見せ、去年自身が打ち出した大会記録更新に期待がかかる。そして見事6本目で向かい風ながらも5m61の大会新を跳んで優勝した。今シーズン最後の試合で来年につながるジャンプができたことは大きいだろう。小林は対抗戦ポイント初出場。最初は足が合わず、思うような跳躍ができない。なんとか調子を上げて5本目で4m85を跳んだが本人のベストから考えるとあと一歩といったところであった。今回で見つけた課題を冬季練習によって克服していってほしい。
走高跳 金子(3)、野坂(1)
金子は七大戦で自己ベストの1m50を跳んでいるが今回は危なげな跳躍が続く。1m40を3回目で何とかクリア。しかし1m45を跳ぶことはできず、一橋の小森(4)に1m40の試技数差で負けてしまった。今後はもっと安定感のある跳躍を期待したい。野坂はやり投げが専門だが走高跳経験者である。走高跳は今回が大学に入って初めての試合であった。きれいな跳躍を見せるものの走力が足りず1m30に終わってしまった。走高跳の専門がいない今、より多くの選手が必要である。対抗戦でもっと活躍できるよう精進していってほしい。
砲丸投 金子(3)、高橋(1)
砲丸投では1位金子、2位高橋と念願のスコンク勝ちとなった。金子は4投目で一気に記録を伸ばし、自己ベストの9m79を出した。高橋は後半、記録を伸ばす事が出来ず、結局1投目の9m32に終った。今シーズンはあと、東海秋季のみとなったが、ベストを尽くして頑張って欲しい。
槍投げ 金子(3)、野坂(1)
記録を見ると金子の勝ちは決まっていたので野坂が小森、亀井の中にどこまで食い込めるかが勝負の分かれ目であった。金子は1投目で40m近くなげ、1位はほぼ確定。結局この一投目の記録が6投中のベスト記録となる。今年は40mが1本も出ていないのでもう一度投げを見直し、来年は更なる成長を遂げて欲しい。一方野坂は前半思うように槍が飛ばず、苦しむ。その後、決勝が始まるまでの間につきさしで感覚をつかみ、回復した投げにより、記録を伸ばし、一時は3位になったものの、その後亀井が再び抜き返し、最終的には4位で終ってしまった。野坂はまだ記録がそこまで良いとは言えないが、筋はいいのでこれから練習次第でかなりの成長が期待できるであろう。まだ槍投げが初心者である今が一番伸びる時期である。充分に鍛え、高橋と共に投擲パートを強化していって欲しい。