2024年度は2019年を最後にコロナ禍で実現できなかった音楽教室を開催しました。今回は滋賀県草津市にある光泉カトリック中学校の生徒さんたちと、三重県桑名市の津田学園小学校の生徒さんに向けて音楽教室を開催しました。
音楽教室は、演奏旅行で地方に赴き、普段オーケストラの音楽に馴染みのない子どもたちにその魅力を伝えていくイベントです。音楽の演奏鑑賞だけでなく、実際に観客の小学生や中学生たちが指揮棒を持って指揮者体験をしてみたり、休憩時間に奏者が客席に降りてきて、楽器体験をしたりと、普通の演奏会よりももっと近い距離でオーケストラの音楽を体験できるイベントです。
ビゼー作曲『カルメン』より『闘牛士』の軽快な音楽で音楽教室は幕を開け、司会の挨拶に応えて子どもたちも元気よく手を振ってくれました。オーケストラ全体があの有名なジャジャジャジャーンのフレーズを弾くと、生徒たちは手をあげて知っていると答えてくれ、この動機からなるベートヴェンの交響曲『運命』より1楽章を演奏しました。続いてはブラームス作曲、ハンガリー舞曲第5番ですが、オーケストラの指揮者の指揮による演奏だけでなく、指揮者体験として、会場にいる生徒さんにも指揮を振ってもらいました。同じ曲なのに、指揮をする人によって曲の聞こえ方が違ったり、テンポを調節するのが意外と難しかったり、会場はクラスメイトの指揮で大盛り上がりでした。
その後休憩時間に楽器体験を行いました。ずっと触ってみたかった楽器や、先ほどの演奏で気になった楽器など、たくさんの生徒が自分の興味のある楽器に触れて楽しんでいました。中には音を出すのが難しい楽器を一発で鳴らせて喜んでいる子や、目一杯力を入れて打楽器を鳴らして楽しんでいる子など、会場は賑わっていました。
演奏会の後半では、久石譲作曲の『トトロ』メドレー、映画の中で馴染みのある音楽をオーケストラで披露しました。メドレー内では、さつきとメイや、まっくろくろすけ、さらにはトトロ、ネコバスも現れ、子どもたちは大喜び、『さんぽ』の演奏にも合わせて元気に歌ってくれました。そして、チャイコフスキー作曲の『花のワルツ』、さっきまでの愉快な曲調から変わり、3拍子の優雅なリズムに合わせて、オーケストラが奏でる美しいハーモニーに、生徒たちも興味津々でした。
最後は、ヨハン・シュトラウス作曲『ラデツキー行進曲』、オーケストラに合わせて、会場みんなで手拍子を叩き、生徒のみんなも奏者となって愉快な音楽を楽しみ、演奏会の終わりを迎えました。
来年度以降も、コロナ禍以前同様、名古屋大学交響楽団では毎年地方の学校で音楽教室を開催する予定です。
2024年度音教委員 庶務 朱