フォルクローレとは、特にアンデス地方を中心とした南米の音楽文化を由来とする民俗音楽です。
主にボリビアやペルーやアルゼンチンで発達し、フランスや日本でも盛んに演奏されています。
フォルクローレは南米の原住民の音楽を核にヨーロッパの移民や黒人の奴隷の音楽が混じりあって発展しました。
そのためフォルクローレはとても幅広い音楽ジャンルを指す言葉であり、その音楽的特徴を一言で表すことは難しいです。
ある程度共通している特徴として以下で紹介する楽器を使用することが多いことが挙げられます。
素朴な音色の笛や華やかな音色の弦楽器で奏でる音楽は異国情緒に溢れています。
また、アンデス地域ではダンスが盛んで、ダンスを踊るためのBGMとして発展したことも特徴です。
ダンスの種類に合わせてフォルクローレの曲はいくつかのリズムにジャンル分けすることができます。
日本で人気の「コンドルは飛んでいく(El Condor Pasa)」と「花祭り(El Humahuaqueño)」の二曲を紹介します。
ぜひ聞いてみてください!
ケーナは竹や木で作られた縦笛です。
管に7つの穴と吹口の切れ込みを彫っただけのとてもシンプルな構造です。
上部に下唇を当て、唇を”イ”の形のようにして息を吹き込んで音を出します。
ケーナはスペイン人の南米入植以前から存在するとても古い楽器です。
もともとは現地のお祭りのお囃子で使われるヘロヘロとした音色の笛でした。
20世紀に入ってから改良が進み、現在のような表現力豊かな笛になりました。
主に主旋律を担当します。
フォルクローレで使われる楽器の中では最も有名です。
大きさによってケナチョやハチャケーナなどの種類があります。
サンポーニャはパンパイプと呼ばれる形をした楽器です。
音階上の音に対応した管を束ね、首を素早く動かし管の間を移動して旋律を奏でます。
ケーナとは異なり、唇を”ウ”のかたちのようにして力強く息を吹き込みます。
葦の管を用いることが一般的です。
サンポーニャもスペイン人の南米入植以前から存在する楽器です。
ケーナ同様もともとはお祭りで用いられる楽器の一つに過ぎませんでした。
20世紀に入ってから改良が進み、現代的な音階に対応したことで
今日のように広く用いられるようになりました。
フォルクローレでは主旋律またはケーナの補助的な役割を担当します。
大きさによってチュリ、マルタ、サンカ、トヨなどの種類があります。
チャランゴはギターよりやや小さい弦楽器です。
かつてはアルマジロの甲羅で作られましたが、現在では木で作られることが多いです。
ギター同様左手で弦を押さえ、右手で弾いて音を出します。
10本の弦が張られ、2本づつ指で押さえる複弦という構造でできています。
右手を柔軟に動かしてパーカッション的な演奏をすることが特徴です。
チャランゴは比較的新しい楽器であり、スペイン人が南米に持ち込んだ
ギターの前身となるビウエラ・ デ・マーノという楽器をもとに作成されました。
20世紀に奏法の開拓が進み、現在のような華やかな演奏がされるようになりました。
前述のようにチャランゴは伴奏的な演奏だけでなくパーカッション的にも用いられ
また主旋律を担当することもあります。
一般的なクラシックギターです。
伴奏を担当します。
ボンボは、木の胴に牛やヤギ、リャマなどの皮を張った太鼓です。
バチを使って面と縁を叩いて演奏します。
一般にアンデスの民俗音楽で用いられる太鼓はボンボと呼ばれますが
地域によって名前、大きさ、材質、形状は大きく異なります。
ボンボはスペイン人が持ち込んだ軍隊太鼓をもとに作成されたと言われますが
その発祥は定かではありません。
古典的な演奏ではボンボが使われますが、最近ではドラムセットも多く使われます。
チャフチャスはヤギやリャマなどの爪を布に縫い付けて作られたパーカッションです。
布はリング状になっていて、中に手を通すことができます。
上下に振ったり叩いたりして音を出します。
ダンサーが腕や脚に通して踊ることもあります。
その発祥はインカ帝国以前にまで遡るとも言われますが定かではありません。
パカイはインガ・フィーユエイという豆を乾燥させたパーカッションです。
インガ・フィーユエイはアンデス地域に自生し、甘い風味がすることで有名です。
振ると中の種が動いて音が鳴ります。
発祥は不明です。
マトラカは木製または金属製のパーカッションです。
ハンドルを回して木の板を弾くことでガラガラという大きな音を鳴らします。
モレナダ(Morenada)というリズムで用いられます。
もともとは教会で人々に合図をする道具として用いられていました。