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大井川本線の車窓から

文・地理・2 山本 真一朗

千頭から金谷に向かう上り列車は、千頭を出発した直後に蛇行する大井川を横断する。直後に短いトンネルを抜け再度大井川を横断する。この短いトンネルで国道362号がオーバークロスする。

2度大井川を渡って次駅の崎平駅に到着するが、同駅を出た直後にまた大井川を横断する。何度も大井川を横断するように思われるかもしれないが、本線で大井川を横断するのは全部で4回であり、そのうち3回が千頭とその次の次の駅である青部の間の約3kmに集中する。であるから、川の景色を楽しみたいなら、金谷行きなら進行方向右側に座るのがベストである。本線は大井川右岸を走る距離の方が長いが、川の真横を走る距離は圧倒的に左岸の方が長い。


列車は国道362号を右手に見ながら、駿河徳山駅に到着。同駅は有人駅である。同駅を出ると、田野口駅を経て下泉駅まで大井川とほぼ平行するように南下する。しかし鉄道と川の間に森がある箇所が多く意外と川は見えない。


下泉駅も有人駅である。川と駅との間に野球場があり、ここでも大井川はあまり見えない。下泉駅を出ると、線路は次第に川に近づいていく。整備された主要地方道77号も進行方向左手を併走する。この付近は河原スレスレの高さの所に線路が敷設され、豪雨時には路盤の決壊などの危険にさらされやすいとされている区間である。しかしこの付近の大井川はその蛇行の美しさ(?)から「鵜山の七曲り」と呼ばれ、変化に富んだ車窓は観光客の目を楽しませる。

塩郷駅は、河原の真横にある。


地名駅は川から少し離れたところにあり、森、茶畑に囲まれている。

笹間渡駅では再び川に近づくが、駅は森で囲まれており視界は閉ざされる。

同駅を出た直後、4度目の大井川横断がある。ここで、一気に視界が開け、抜里駅を遮るものは何もない。ただ、今まで進行方向右手に見えた川はここから左手に変わり、終点金谷まで川の見える方向が変わることはない。


大井川右岸をちょっと走ると、家山駅に到着。川根町の中心駅である。もちろん有人駅である。

同駅を出て、左手に川を見ながらしばらく走ると、大和田駅。進行方向右手に「大井川鉄道ゲートボール場」がある。

ちょっとしたトンネルで山を越えると、福用駅、それから本線最長の地蔵トンネル(とはいっても長さはわずか671m)を抜けた直後に、神尾駅に到着。地図で見ると川のすぐ横だが、木が鬱そうと茂っており、川は見えない。同駅を出ると、大井川とはもうお別れである。


次の五和駅は完全な町中であり、先ほどまで見てきた景色がまるで嘘のようだ。

五和駅から日切駅を経て代官町駅までの本線は、国道473号に沿って走る。辺りは住宅地であり、平坦である。


家や車が多くなって、新金谷駅に到着。あと残り一駅となったが、標高69mの新金谷駅から、93mの金谷駅まで、高低差24mを登り切らないと、JRと連絡が取れない。

新金谷駅を出て、静岡方向に向かって走ると、JR東海道本線が近づいてくる。この間に20パーミルの急勾配でかなりの高度を稼ぐ。JR東海道本線をアンダークロスするかに見えた列車は、今度は急カーブで、向きを名古屋方向にかえる。そして、しばらくJR東海道本線と併走すると、金谷駅が見えてくる。行き止まり式のちっぽけなホームが大井川鉄道本線の終着駅、金谷である。


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