最近刊行が続くグレッグ・イーガンの訳者,山岸真の独演会.
作者登場の背景を軽く紹介,既刊二作を率直に評し,未訳作品の魅力を十分紹介し
作家自身にせまる,満点の講演だった.
多角的な紹介も誉めるところだが,何より無理に誉めたりせず「話は下手だ」と言い切ってしまう,率直さが好印象.
多少ぎこちないかと思ったのは最初だけで,そんなことはすぐになくなった.
印象深いのは,SFMの記事を引き合いに出すが,資料が見つからない瞬間.
スッと,客席からSFMが差し出されるワンシーンは非常に微笑ましかった.
大きな話題としては,
- 海外での活躍とその背景
- 魅力(欠点の話ばかりだったけど)
- 未訳作品の紹介
- 質疑
- イーガンと神林の比較 x2
- 順列都市に関するもの x3
ライブの面白さには当然及ばないが,内容だけ書き留めておく
- 海外での活躍とその背景
インターゾーン誌が提唱したラディカル・ハードSF(ムーヴメントではないらしい)と.
そこで出てきたバクスター,マクドナルド,マコーリィ,エリック・ブラウンらの活躍にからめたイーガンの登場.
SFの伝統を意識した バクスター,マコーリィに比べ,イーガンはSF的なガジェットを使うが,話の展開やガジェットの使い方は一から考える,という違いがある.
その後,90年前後にイーガンが読者賞を独占した.
- イーガンの欠点と未訳作品における成長
話の下手さ,ガジェットを突っ込んで描き込むあまり話を壊してしまう
という欠点が既訳の二作ではめだったが,冊数が進むと改善されているらしい.
質疑の中で面白かったのはこのへん
- 「緻密に理論を積み上げる部分がある反面,詭弁めいた部分もある」
そういう詭弁をやっても「嘘だ」と非難されずに,
逆に読者が考えこんでしまうところが
上手さであり魅力だ,という話はかなり納得した.
イーガンの論理展開の面白さと胡散臭さをうまく表現している.
- 「イーガンは不合理なものに対して嫌悪がある」
なるほど.
- 「実は覆面作家」
人種や国籍で偏見を持たれたくない,ということらしい.
作中登場人物の身体的描写が極端に少ないこともその辺に起因するようだ.