2005年 名岐駅伝
<総合成績> <区間成績> <スピードランキング> <寸評>
名大の実力は昨年を上回る。しかし10位レベルのチームの力が明らかに上昇している。名大の調整がほぼ万全にできた感触があったので、何チームか大きなブレーキをしてくれれば4年連続10位以内の望みもなくもない。しかし冷静に見れば、名大がうまく走って、12?15位の順位だろう。
トヨタ、トヨタ紡織、スズキ、NTN、愛三工業、愛知製鋼、八千代工業の7チームは実業団バリバリで、しかも1区に外国人を起用しており勝負にならない。トーエネック、中央発條、柳川精機は全員が14分台で間違いない。ここまでですでに10チームになる。
サンヨー岐阜は1区に外国人を起用。守山自衛隊の力は春日井マラソンで見せつけられた。守山と力が拮抗する金沢自衛隊も強い。学生陣では中京大が強い。あと愛工大、TPACまでは名大とほぼ同程度の力で、少しでもブレーキがあれば17位まで覚悟しなければならない。目標はとりあえず打倒中京大に絞った。その結果、目標順位を12位に掲げて試合に臨んだ。
1区 中村 高洋(3) 38分01秒 区間13位
全日本の1区を無難に走り、自信を持って中村を1区。本人の目標は学生で1番になることだった。愛工大はエース牛山。中京は伊藤、原田の力のある1年でなく坂井だった。ちなみに守山自衛隊は有馬(愛工大出身)で、1月の春日井10kmでは中村が負けている。
スズキのマサシ(日本で一番強い)が欠場し、ペースが落ちるかと思った。しかしNTNのムワンギが2分50秒を切るラップで突っ走った。風は左からの横風で走りやすい状況ではなかった。集団はすぐに縦長になり、各チームのエースが集まった1区でさえ、当日調子の悪い者、力のない者がスタート直後から後方に置かれてしまう過酷な1区だった。中村はポーンと飛び出したあと、冷静に中団に位置し、うまく走っている。5km辺りから愛工大の牛山が遅れ始め、かなり一杯の顔つきだった。
10kmで中村を見ることができた。順位は17?20番目で、苦しそうな表情に見えるが頑張っている。前方30mあたりに中京大坂井がいるが、それを目標にして走っていた。ラストの1kmから中村が踏ん張って、中京大を含めた数人を抜き、2区への中継では13位、日本人では6番目だった。対中京大で勝利を考えると、ここで1分程度の貯金が欲しかったが、相手も強く7秒しか差ががなかった。しかし愛工大に対しては互角の予想をしていたが、1分12秒も差を付け、優位に立つことができた。一応当初の目標通り、大学勢トップで走り切り、現在東海地区大学生ではNo.1の実力であることを示した。
2区 森本 一広(3) 18分03秒 区間15位
年明けから風邪をひいたりしてもたもたしていたが、直前の仕上がり具合は名大の中では最も良かった。大きな期待を寄せ、2区に起用した。昨年は同じ2区で17分39秒。区間順位は大会本部のミスもあったが、おそらく10位だったのだろう。今年は向かい風が強くて記録は難しい。しかし10位争いに首を突っ込むだけの順位に押し上げる、快走を期待していた。
中村から13位でたすきを受け取り、走りやすい状況だった。トーエネック、金沢自衛隊、館クラブの3チームが、100mまでの前にはっきりと見える。すぐ後ろに中央発條、中京大、カヤバがいるが、とにかく前だけを見て勝負に行かなければならない。すぐに中央発條に抜かれたが、冷静なペースで表情もあわてたところがない。しかし中間点を過ぎても、森本にエンジンがかからない。前の有力チームが、少しずつ遠ざかる。さらに、離しておきたい中京大との差が、逆に少し詰まっているようだった。落ちてきた館クラブと、金沢自衛隊は抜いたものの、ペースは一向にあがらず、最後に中京大に抜かれてしまった。順位は13位のまま、残念ながら軽いブレーキだった。あと30秒の短縮がほしかった。補欠から起用された中京大の2区はしっかり走り、練習に裏付けされた手強さを感じた。
3区 内藤 聖貴(D1) 23分08秒 区間12位
内藤自身の希望で3区に起用。練習もだましだましの状況で、多くを望むことができない。調子自体もあまりよくなかった。よれた森本からたすきを受け取り1kmでは中京に追いついて、前を積極的に狙う。追い風が吹いて後半区間はかなり走りやすい。しかし中京もなかなか離れない。そして前のトーエネックは200m前だが、まったく差が縮まらない。絶好調なら強引に突っ込んでいくところだが、現状ではそのまま淡々と走るしかなかった。
記録は23分08秒、しかも区間賞と1分02秒で、好走といってもいいのだろうが、区間順位12位では何とも評価が難しい。3区終了時点で中京大との差は32秒しかなかった。中京大に勝つには2分程度の貯金が欲しかったが、この差では逆転されるのが必至となった。
4区 伊藤 潤一(M1) 30分20秒 区間18位
4区は伊藤。調子は悪いとは思えなかったので期待していた。冷静に滑り出したのだろうが、思ったような走りができていない。4区の中間点過ぎで監督車から降りて、やってくるランナーを待った。中京は原田。1年生ながら14分10秒台の力でこの区間は1分の負けを覚悟していた。しかし調子は不安らしく、4区で詰められなければまだ勝負になるかもしれないと希望を持った。
しかし先にやってきたのは中京大だった。伊藤は20m後に付いていたが、表情はいかにも苦しい。残りの距離をなんとか粘走し、中京大との差を28秒に押さえて5区の中継に飛び込んだ。区間記録を見ても、2区と同様、残念ながら軽いブレーキとなってしまった。
5区 小泉 健二(2) 19分17秒 区間15位
練習熱心で、休み明けのTTで好走し選手の座を勝ち取っていた。1週間前に風邪をひき心配したが、調整練習2000mでは何事もなく、表情にゆとりも見れたので、走れるという手応えがあった。補欠に回った本田、藤永も好調で、メンバー変更してもよかったのだが、当初の予定通り小泉を起用した。
28秒前をいく中京大だけを目指して走るよう指示して、その通り冷静に走っていた。中京大の野村は好調という情報だったが、少し差が詰まっていた。しかし後ろから守山自衛隊と金沢自衛隊が並んで小泉に迫っていた。
中間点過ぎて守山自衛隊に抜かれてしまった。体調が絶好調なら、付いて一緒にあがるか、抜かれるようなことはなかったろうが、いまいち軽快な走りではなかった。結局アンカーが待つ中継所では、順位を一つ落としたが、中京大との差をわずか詰めて25秒にし、稲垣にたすきを渡した。
6区 稲垣 真太郎(M1) 34分59秒 区間21位
本人は3区を希望していたが、内藤とかぶり、アンカーに回った。調子自体はまずまずに見えた。しかしこの区間のランナーは、各チームの準エースで、稲垣に逆転を望むのは酷な状況だった。中京大は1年生の伊藤だが、インカレ10000mチャンピオンで、この区間だけで1分の負けは計算していた。
稲垣は目の前の守山自衛隊を目標に走り始めたが、少しづつ離されていき、もう前を追う気力はない。淡々と自分のペースで距離をこなすだけだった。スピードの上がらない稲垣の後ろ姿に励まされ、後ろからTPACと金沢自衛隊が追い上げてきた。中間点ではその差が20秒程度までつまり、抜かれてしまうことを監督車の中で覚悟しなければならなかった。
しかしラスト1kmだけは踏ん張って、なんとか順位を守り14位でゴールに飛び込んだ。あの追い風の中で35分近くかかってしまい、区間順位21位では、ブレーキとしか評価できないが、アンカーとして最も重要な順位を守り、最低限のことはできた。
おそらく今後の名岐は、10位辺りのチームの力の充実が予想される。もう一度10位以内になるには、チームの5000mの平均が14分40秒までいかないと挑戦する資格がないだろう。その走力で名岐の53kmを走ると2時間39分。つまり3分00秒のラップを刻み続けてその記録になる。全日本大学駅伝への切符は1枚しかない。そのレベルに到達できたチームにしか手にすることができないだろう。
<選手感想>
1区 中村 高洋(3)
当日はたくさんの応援ありがとうございました。とても楽しんで走ることができました。
個人的には今の力は出せたのではないかと思います。しかし、目標としていた中京大には敵わず、悔しいし、まだまだ力不足でした。今後の大会で必ずリベンジしたいと思います。
2区 森本 一広(3)
去年と同じく2区を走らせてもらいました。大学トップで襷をもらい、差を少しでも広げようと走ったつもりがうまく走ることができず残念な結果に終わりました。反省すべき点は多く来シーズンへ向けてこれから気を引き締め直して練習に取り組みたいと思います。審判・補助員、応援にと皆さんありがとうございました。
3区 内藤 聖貴(D1)
4区 伊藤 潤一(M1)
自分のとこで中京大に抜かれてしまい、しかも差を広げられて散々でした。この借りは来シーズンに少しでも返せるように頑張りたいと思います。
当日は色々とありがとうございました。
5区 小泉 健二(2)
東海学生駅伝の悔しさを胸に練習に打ち込んできましたが、直前に体調を崩し、結局情けない走りになってしまいました。申し訳ありません。今回の反省を次に活かしたいです。忙しいなか、審判、補助員、付き添い、応援等ありがとうございました。
6区 稲垣 真太郎(M1)
しょぼい一年を総括するような走りでした。ごめんなさい。来年はがんばれそうです。