第56回 名阪戦試合内容
・男子
100m 遠藤(3)、西脇(2)谷(1)
後藤(2)は東海インカレでの怪我を考慮してポイントからははずれた。スタート3〜4歩目までは谷が低い姿勢でやや先行。それに一同続く。20〜30m近辺で中間疾走へと移行する過程で、後藤がリードし、谷・西脇は不自然な上体姿勢で移行する。中盤以降は遠藤が完全にリードを奪い、後半の軸の左右ぶれが少々でるものの余裕で一着のフィニッシュ。記録は11秒10の好記録。後半以降のレース展開一つで10秒台へと突入するだろう。谷は中間疾走(残り60m以上)を決定づけてしまう「移行区間」が課題である。西脇は今回が初のポイント起用となった。練習でできたことを試合で実践する難しさを感じたことだろう。場慣れ・自分のペースを構築する必要があるだろう。全体としてはまだまだ向上が望める種目である。技術・体力ともにワンランク上を目指してほしい。
400m 加藤(4)、井亀(4)、遠藤(3)
遠藤はスタートから落ち着いたリズミカルな走りで1着。レース構成も100mのスプリント力に物をいわせ、100mのラップ12秒前〜中盤でコンスタントに刻んだ。マルチスプリンターの力を遺憾なく発揮した。井亀は100m等の疲れがあるのか肩がやや上がってしまいゆとりのある走りができず、全体的にやや堅いレース展開になってしまった。加藤もやはり疲れが走りから伺えた。やや走りが間延びしてしまい、後半の疲れに拍車をかけることになってしまった。
400mは個々人の持ち味(スピード・後半の持久力など)を生かしたレース構成が重要となる種目であろう。日頃の練習時からレースを意識した200m以上の練習が必要であろう。
110mH 加藤(4)、宮島(4)、前里(1)
前里はスタートからリードを奪おうと安定したハードリングを見せた。後半にやや体が浮く動きも見えたが他を寄せ付けずトップでゴールした。14秒台、更には全カレに行くには基礎となるスプリント力向上が必須であろう。加藤は400mでの疲労もあったのだろうか。インターバルの走りに切れがみられなかった。ハードリングも全体的に浮いてしまった。宮島は上下肢の動きの関連性に少しばらつきが見られた。特に後半になると動作の正確性にばらつきがより顕著になっていた。各々の課題を明確にし、その克服のための練習内容を各自が考える必要があろう。
4×200mR 後藤(3)、谷(1)、井亀(4)、遠藤(3)
1走の後藤は怪我が治ったばかりで、怪我の再発・スピードに心配があった。元来10秒68で走るので、多少衰えていても阪大1走に引けをとることはなかった。日頃の後藤とはやや違う少し切れのない走りで二走の谷へ。谷は100m・400m(オープン)と二種目こなし疲れが心配であった。予想は的中し、前半のコーナー走に積極性がうかがえない。応援する一同を不安にさせる場面も。直線に入ってからの加速も滑らかさに欠け伸びず、全体としては阪大との差を詰められてしまった。3走の井亀も100m・400mでの疲労が心配であった。前半はうまくまとめたが、後半のバックストレートの向かい風で力んでしまい阪大につめられた。次走の遠藤とのバトンパスがうまくいかず阪大にリードされてしまう。後藤もコーナーから積極的に追いかけるが、差は大きく詰め切る結果には至らなかった。メンバー的には勝てたレースであっただけに悔しい結果だった。
800m 小栗(4) 渡辺一(2) 中村(1)
相手の強さ次第だが、小栗が走れるだけに勝負にはなるとみていた。ラップは60秒かかり6人が一団となってレースが進んだ。こうなれば負けない。最後の直線で小栗が力を見せつけ楽に優勝した。渡辺も着実に力を付けているところを示し2位だった。1500mの森本と同様に期待の大きい中村は一人も食えず最下位だった。しかし緑川(1年)とともに後2ヶ月で七大戦レベルなら勝負できるところまで回復できる。
1500m 瀧川(4) 小栗(4) 森本(1)
この1500mで弾みをつけたい。しかし不安は大きかった。1周目を阪大の1人が63秒程度で引っ張り、瀧川がいつものように少しあけて追走する。2周目に入ってペースは落ち着き小栗、瀧川も息をつき、勝負できる体勢になってきた。森本はまだ3分10秒の練習ができる段階なので、今回は一人食えれば良し。最後の1周になって小栗と瀧川の1位2位は確定。最後の直線で瀧川が先行し、平凡な記録ながらも優勝。後に800mを控える小栗が2位だった。森本は4分20秒で最下位に終わった。
5000m 藤田(2)、山田(3)、伊藤(3)
練習でやっと上向いてきた藤田の優勝は堅い。力は1枚も2枚も上だから、焦らないで暑さを考慮して自分で考えていくようにと話し合った。伊藤、山田ともにまずまずで、このメンバーでなら勝負になるだろう。スタートして藤田が73秒で淡々と引っ張っていく。途中から暑さのためにイーブンペースを心がけていた山田が離れて名大2人、阪大2人のレースとなった。藤田だけがペースを守り徐々に一人旅となっていった。伊藤は阪大の先頭と抜きつ抜かれつの勝負をしている。しかし3000mをすぎて先頭を行く藤田の様子がおかしい。76秒あるいはそれ以上かかりだし、後ろの選手に勇気を与えてしまった。残り2周で伊藤と阪大に抜かれてしまった。伊藤が最後まで勝負を捨てず、見事に優勝した。山田は後半もペースを守り物足りない感じもしたが、まあ合格の3位だった。心配なのは藤田で、左足の親指、人差し指の甲の痛みもあってまさかの4位だった。七大戦では本来の走りが見せられるように、対処しなければならない。
走幅跳 米田(3)、福田(2)、鈴木(2)
この種目は阪大が強い。何とかしてスコンク負けは避けたかったが、結果はやはり二分極化してしまった。とはいえ、阪大の跳躍を目の当たりにして、名大の三人も何かしらヒントをつかんだはずである。それを次に生かしてもらいたい。
三段跳 米田(3)、福田(2)、鈴木(2)
幅と同じくため息のもれそうな結果に終わった。いつまでも近藤(M2)に頼っているわけにはいかない。学部生にも、そろそろ脱皮してもらいたい。
走高跳 後藤(3)、米田(3)、森田(2)
阪大の真鍋は別格。二位、三位、四位をしっかりキープするというのが名大勢に課せられた使命であった。米田は走幅跳の直後ということで、足合わせをする時間も無い状況であったが、他人の置いた助走マークがぴったり合っていたおかげで自己ベストの1m80をクリア。4位に入る。安定した跳躍が持ち味の後藤は、今回も自己ベストの1m85までは余裕を持ってクリアしていく。しかし次の高さを越えることはできず、3位で競技終了。東海インカレで1m90を跳んだ森田は、今回も絶好調。91,94と次々に自己ベストを更新し、真鍋を少しだけ焦らせた。本人からは2mを目指すとの発言もあり頼もしい限りである。
棒高跳 森田(2)、端浦(2)、福田(2)
阪大細川に勝つことは難しい為森田、端浦で二位、三位を取ること、福田がいかに阪大選手をぬけるかが重要だった。福田はこの試合、自己タイとなる2M80をクリア、専門外ながら四位にはいったところで試技終了した。膝を痛めていた端浦は間違いなく跳べる3M40から開始し、次に3M80を一回でクリア。しかし次の4M00、高さは十分いっていたがポールの堅さが合わなかった為跳べず不本意な記録に終わった。森田もハムを痛めていたが4M00まで難無くクリア。次の4M20は3本目に余裕を持ってクリアした。しかし次自己ベストとなる4M40は助走のリズムが崩れ跳ぶことができず、記録は4M20だった。結果森田ニ位、端浦三位、福田四位とポイントとしては順当だった。
砲丸投 中村(4)、鈴木(基)(2)、津村(2)
今回、走幅跳・三段跳で苦戦は必至なので、投擲の方で点を稼いでおきたかった。向こうの持ち記録を見る限り、鈴木(基)、津村の3・4番はほぼ確定しており、後は中村が尾杉に勝てるか、どこまで記録が伸せるかが焦点だった。1・2投目と中村が尾杉を抑えて記録を伸すが、まだ記録自体は低調で安心できない。3投目には、尾杉に逆転されてしまった。中村にとっては最後の2校対校。中村の奮起が期待されるが、5・6投目と声は出るものの、砲丸は今一つ伸びず、結局2位に終わってしまった。
鈴木(基)、津村は100mオープンと重なり、忙しい中での投擲ではあったが期待通りに9mを越える投擲を見せ、3・4位はほぼ確定。100mの疲れがある中で、二人とも後半さらにベスト近くまで記録を伸してきた。10m50位まで記録を伸せれば、七大戦でベスト8に残る可能性が出てくる。2年生コンビが、後2ヶ月でどこまで記録を伸してくるか、楽しみである。
円盤投 中村(4)、加藤(4)、鈴木(基)(2)
棒高跳の選手に円盤が当たる可能性が高いという事で、30分ほど時間を遅らせて競技開始となった。円盤投は事前の予想では1、3、4位をとって簡単に勝てると見られていたが、実際に始まってみると予想はあっさり覆されてしまった。まず優勝は間違いないと思われていた中村が、まさかの3連続失投。尾杉に負けて2位で前半を終えた。また、阪大の2番手が記録を伸してきて、鈴木(基)が5位に転落。加藤は、3投目に高校生用の円盤で幻の35mを記録するハプニングもあったが、事前の予想通り3位を確保した。後半は、鈴木(基)が立ち投げで確実に記録を伸す。阪大の2番手も記録を伸してきたが、鈴木(基)は自己ベストを更新して、1cm差で逆転し4位に上がった。中村は後半もさえない投擲だったが、5、6投目に記録を伸し、35mさえ越えなかったが、何とか優勝を決めた。
色々あったが、結果としては予想通りの順位を取ることができた。鈴木(基)はこの調子でさらに自己ベストを伸していって欲しい。
やり投 中村(4)、鈴木(基)(2)、森田(2)
強い向かい風の中、円盤投の影響で30分遅れて競技開始となった。中村は1投目に記録を残した後、優勝を狙って助走距離を伸して果敢に勝負に出るが、一発が出ない。結局2位に留まった。森田は肘が痛むため、1、4投目だけの投擲ではあったが、きっちりと45mラインを越えて、3位になった。鈴木(基)は、名大男子唯一のやり投げ専門選手として期待が集まるが、砲丸投、円盤投のようにはうまくいかず、悪戦苦闘。力を出しきれず、4位に終わってしまった。阪大の2、3番手があまり強くなかったこともあって、2、3、4位を確保できたが、名大のポイントの記録には少し物足りなさを感じた。
・女子
100m 荒俣(3)、 若村(1)
横並びのスタートで始まった。後半も粘って阪大を押さえ名大が1位、2位でゴールした。若村は前回よりもタイムをあげ、荒俣も自己ベストをマークし、快調な走りを見せた。
4×100mR 藤原(2)、荒俣(3)、原田(4)、森下(1)
1走藤原は順調なスタートを切り、2走荒俣へつなぐ。この日荒俣は100m、400m、走幅跳とハードスケジュールだったにもかかわらずエースの意地を見せつけ阪大チームをぐいぐいと引き離し3走原田へスムーズにバトンを渡す。この日100mでベストが出て勢いに乗っている原田は、快調にコーナーを曲がり、緊張と不安が入り交じった顔つきをして構えているアンカー森下へバトンをつなぐ。初の顔合わせとは思えないような絶妙なパス。森下はまだ走りに不安があるものの阪大チームを寄せつけずそのままゴール。いくつかの課題はあるが、七大戦への手応えを感じることが出来たレースであった。
400m 荒俣(3)、久野(2)
阪大の状況からしても名大のスコンクは間違いない。スタートから久野が積極的にとばす。一方荒俣は慎重に走り出した。久野は最後までスピードが衰えることなくそのまま優勝。記録もなかなかの好記録であった。荒俣も多種目出場の中ではあったが2位は確保し立派に役目を果たした。この種目が専門の久野は最近調子を上げてきておりこれからが非常に楽しみである。ぜひ今年中に60秒を切って名大記録、さらには自己記録を塗り替えてほしい。
800m 岸上(3)、久野(2)
1500m同様に岸上が最初から飛び出して優勝した。独走で2分20秒は切れなかった。もう少しでいいから絞り込むことができたら2分15秒が切れる。久野もやっと本来に近い走りになってきた。しっかり練習して七大戦で自己ベストに近いレベルで勝負してほしい。
1500m 白藤(4)、岸上(3)
岸上は強い。最初から記録ねらいで飛び出し独走でゴールした。一応全日本の標準を狙っていたがバックストレートの向かい風に阻まれてしまった。今度の西日本インカレが非常に楽しみになってきた。白藤もまずまず好調な部類で完走した。本人は5分は切っておきたいところだろうが、特性は5000mあるいは10000mなので、もう少し絞れた状態で快記録を期待したい。
走幅跳 原田(4)、荒俣(3)
スコンクは確実だが二人とも記録が狙いたいところである。荒俣は400mと走幅跳が重なっており、1本目と3本目の間に400mを走ってきたものの4本目で見事大会新の5m49を跳び優勝した。原田は助走が全く合わず、4本目までファールを繰り返した。何とか5本目で今季ベストの5m03を跳んだが、もっと安定した跳躍をできるよう練習を重ねてほしい。
走高跳 原田(4)、金子(3)
原田はデカスロン以来、公認試合では初出場であったが自己ベストタイの1m35を跳び、その実力を発揮することができた。金子も1m35であったが、自己ベストから−10pであるのでもう少し跳んでほしかった。しかし、終わった試合のことをいっても結果は何も変わらないので次の試合に期待したい。
やり投 金子(3)、高橋(1)
高橋は信大に続いて2回目のやり投であるが以前に比べ投げ方が様になってきていて、記録も伸びてきた。そのうち投てき種目がやり投から変わるかもしれないが、やり投のあるうちは頑張ってくれそうである。一方、金子はなかなか40mを投げることができず、38mに終わった。40mを投げる力はあると思うので、その力を発揮する姿を見てみたい。