★実名報道
T、被疑者・被告人の実名報道
1989年 被疑者の呼び捨てを廃止、「容疑者」と呼称する。
「新聞は社会的制裁機能を持つべきではない」(読売新聞)
「すべての被疑者は無罪を推定される」(毎日新聞)
1990年 朝日新聞が、一般刑事事件被疑者の連行・顔写真の不掲載を決定。
U、精神障害者の匿名報道の根拠(朝日新聞の報道基準)
(1)刑法39条
(2)社会的偏見のため家族が不利益を受ける
(3)本人が社会復帰した場合への配慮
V、松本サリン事件をめぐる報道
捜索の段階から実名で報道
W、匿名報道をすべき理由
(1)無罪推定原則を尊重する
−被疑者や被告人は、合理的な疑いを超える程度に有罪の証明がなされるまでは、無罪として扱われるという刑事裁判上での原則
(2)実名報道による現実的な被害(家族への被害・メディアの制裁)
−被疑者・被告人として実名報道された当事者や家族が、失職・退職・転居・いじ
めなどの被害を受ける事例が多い。
→メディアが制裁を加えるべきではない
(3)プライバシー
−市民が警察に逮捕されたという事実は最も隠したい事実であり、プライバシーである。ただし、公人の場合は実名で報道するべきである。
X、匿名報道への反論
(1) 公権力行使への監視機能
−匿名にすると、当局の発表も匿名になる恐れがあり、密室捜査を助長しかねない。
−逮捕時点で被疑者の身元を明らかにすることで冤罪を防ぐ。
(2) 犯罪への一般的な抑止効果
(3) 記事の客観性、正統性、と読者に与える記事の説得性
(4) 匿名にすると犯人探しが始まる
(5) 匿名だと無責任になり取材が甘くなる
★知る権利
T、知る権利とは
*知る権利=情報源から自由に情報を受け取り、若しくは情報の開示を要求する権利
−日本の憲法に「知る権利」についての明文規定はない
−世界人権宣言には規定
−知る権利が表現の自由として保障されるようになってきた
U、法的性格
1、自由権的性格=国民が情報収集する時、国家によって制限されない。
2、参政権的性格=個人は様々な事実、意見を知ることによって初めて政治に有効に参加できる。
3、社会権的性格=積極的に政府情報等の公開を請求できる。
V、問題点
知る権利を盾に、開示するべきではない情報までもが開示されてしまうことが問題
表現をする側の配慮も必要