Juvenile delinquency   

少年事件
A. T/D 少年事件とは,20満の非行少年,つまり,罪を犯した少年や罪を犯すおそれのある 少年などの事件をいう。この場合の少年とは男子女子両方。成人の犯罪の場合とは取扱いが違い,正確には「少年保護事件」という。(A/T 裁判所HP)

B.注意すべきこと。 
1.グループによる悪質犯罪が目立つ。
2.14歳から16歳が非行の中心→一過性、青年期特有のものがあると考えられる。
(A/T 河野荘子,2001)
 + 3.それまで家裁の審判や保護処分を受けたことがなかった少年が、重大な事件を起こすなどしていきなり少年院へ送致されるケース増(A/T 法務省矯正局)

C.(役に立たななさそうな)非行の原因
個人を取り巻く多くの要因が複雑に関係しあって起こってくるもの。特定の原因を定めることはきわめて難しい。生理学的観点、認知・学習の観点、心理・社会的観点の3つの側面が一般的か。

1.生理学的観点から見た非行
行為障害(Conduct Disorder)と非行との関連性。アメリカ精神医学会の手引きでは、非行は行為障害と分類。人・動物に対する攻撃性の激しさの程度や、社会的規範の逸脱度などにを指標に診断。だが、検討の余地アリ。
注意欠陥―他動障害(Attention-Deficit)の子ども達が、周囲との関わりの失敗から、非行との親和性を強めていく可能性。この障害に起因する落ち着きのなさなどが両親、教師、友達などの非難の的になりやすく、その時期に必要な適切で良好な対人関係の構築が難しくなる可能性大。

2.認知・学習の観点から見た非行
 a. 社会学習理論
  非行少年たちは、自分の存在確認などのために自由意志によって反社会的な行動を意図的に選択。自己の中にある悪の開放を抑える統制力の不足が、犯罪発生のもとになる。個人のなかに、統制力と道徳性、良心の育成をすべき。そのためには、自己効力感や自己達成感を育てる工夫が必要。
 
 b.モデリング理論
  内的な非行抑制要因が欠如している。非行少年非行が悪いこととは知っている。が、集団やある一定の人間関係のメンバーでい続けることを望むために、非行をする。

3.心理・社会的観点から見た非行
青年期の発達状況上の問題とは切り離して考えられない。この時期は、心身ともに不安定で、不安と苛立ち、羨望、怒りなどを感じながら、それらの表現方法がわからないため、そういった感情に向き合うことをさけ、ただ面白いことを求める傾向が強く、さまざまな心理的問題が行動の形をとって発生しやすいとされる。自分の能力、自己効力感を確認し、周囲にアピールするために暴走行為や窃盗などを行う例も。非行そのものが、歪んだ形での青年期的な課題を乗り越えるための手段となる可能性が考えられる。
更に、重要な視点としては、家族関係、親子関係の問題も。
(A/T 河野荘子,2001 名大教育学部の先生だったり。)

似たようなほかの意見としては
年齢相応の共感性や対人関係の結び方が身についていない、端的に言えば「精神発達の未熟」な少年たちが増えてきている。それが非行の質の変化の原因。
(A/T 法務省矯正局、少年院・少年鑑別所)

思春期には、心身の発達が非常にアンバランスになる子どもがいる。そして、非同時性といって、知的な能力や体力は人並みになるけれども、人間的な感情というのがまだ未熟なままにとどまる子どもが多い。そういう子どもがたまたま重大事件を起こすことが多いようである。…(略)そういう意味でいうと、年少少年14,15歳というのが、やはり一番特殊な取り扱いを必要とする年代ではなかろうかと思うし、16,7歳の中間少年はこれに準じる。18,19歳になると、実際に本当に悪くなった少年というのもいるが、少年全体として、やはり、個別的な、どの程度に子のこのいろいろな心的な、精神的な機能が発達しているかということを見ないと、適正な処遇というものは不可能なのではないかと考える。 (A/T 福嶋章 精神科医、上智大学教授)

少年法
目次
A目的、B対象、C手続き、D審判、E少年法改正 でっす。

A.目的:「子どもの健全育成」
   *少年法第一条 「少年の健全育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行う」
Cf. 刑法  犯した犯罪という結果について、刑罰という方法で責任を受けさせる目的

 なぜこのような違いがあるのか?
→1.子どもは間違いをおかしながら成長し、自立・自律していく それは子ども固有の権利。
  2.子どもの犯罪は根本的に大人のそれとは違う。(環境・発達(一過性)に依存大)
  3.子どもの可塑性  教育・福祉的に対応すれば再犯は防ぎやすい           刑務所に入れることは悪影響のほうが大きい。再犯につながる。

基本理念に関する論点1.
少年法は刑罰という方法で責任を受けさせない。少年だからといって責任が免れるのはおかしい。「他律的」手段講じるべき。少年法改正の流れに乗った(部分もある)意見。

少年法は「自律的」プロセスに重きをおく。
少年が責任を自覚し、心から反省して立ちなおることが必要。「ケースワーク」思想。(“家裁調査官制度”や“少年鑑別所制度”)個人的には賛成。そして尊敬(聞いてないよ!)


[B.対象:非行少年。
非行少年とは以下3種類
 @)犯罪少年 
罪を犯した14歳以上20歳未満の少年
 
A)触法少年
  刑罰の定めがある法令に触れる行為をしたが、その行為の時14歳未満であったため,法律上罪を犯したことにならない少年
 
B)ぐ(虞)犯少年
  20歳未満で,きちんとした理由がないのに,保護者の指導に従わないとか,家庭に寄りつかないとか,いかがわしい場所に出入りするなどの行いがあり,その性格や環境からみて,将来罪を犯すおそれ(虞れ)のある少年] A/T[]部裁判所HP 少年法3条
 ※例えば、暴力団に出入りとか。(A/T 「少年犯罪と向き合う」)


C.事件の手続き概略。特殊。
*家裁で行う少年審判は、刑事裁判で公判において検察官と弁護人が対峙し、それぞれの主張をしあって案件を裁くという形とは違って、審判の場だけで処分を下すわけではない。ケースワークが行われるので、その流れをば。

1.事件の受理
少年の場合、捜査の結果犯罪をしたという嫌疑があるかぎり、すべての事件が家裁に送られる。その、家裁が少年事件を受理する方法としては、警察官や検察官から送致されてくることがほとんど。そのほかに、都道府県知事または児童相談蝶からの送致や家裁調査官による報告、一般の人や保護観察所長からの通告など。(図参照)なお、14歳未満の少年については、まず、福祉的な保護を図ることが適当と考えられるので、最初に都道府県知事や自動相談所長がその少年の取り扱いを決めることになっている。家裁は都道府県知事や児童相談所長からの送致を受けた場合に限って取り扱う。



※ 観護措置
  家裁は、少年の処分を適切に決めるためにその心身の状況を詳しく調べたほうが良いと考えた場合などには、少年を少年鑑別所に送致し、科学的な検査や鑑別を行う(監護措置)をとることがある。


2.調査の手続き
家裁が少年事件を受理すると、裁判官は家裁調査官に調査を命じる。この調査は,少年の性格,日ごろの行動,生育歴,環境などについて,心理学,教育学,社会学などの専門的知識を活用して行う。調査の方法としては,少年や保護者,その他の関係者を家庭裁判所に呼んで話を聞いたり,心理テストを行ったり。家庭裁判所調査官が少年の家や学校などに出向いて状況を見てくることも有り。調査に当たっては,少年の情操を傷つけることがないように,また,少年や関係者の秘密が守られるように,十分注意を払う。また,必要があれば,少年を少年鑑別所に収容して心身鑑別をしたり,家庭裁判所の医務室で診断を受けさせたりすることも。家庭裁判所調査官は,調査の結果を取りまとめて報告書を作成し,その他関係機関に照会した結果などの関係書類とともに裁判官に提出。
注)上記のように、全件、プライバシーに深く踏み込み、また専門知識を必要とする調査が必要であるため、検察官が排除されているのである。

3.審判…とか。
調査が済んだら、処遇は4つ。
@)審判不開始(少年法第19条1項) 
犯罪を犯していない、保護処分にまでする必要がないと明らかにわかる場合。

A)不処分(少年法第23条2項)
   審判の結果、犯罪を犯していない、審判をした結果、保護処分にまでする必要ない場合。

B)保護処分(少年法24条)
   いずれも罰ではなく、教育、福祉措置。三種。詳しくは図参照。
   
少年院送致について
少年の年齢、犯罪傾向の程度および心身の状況に応じて決定。犯罪的傾向が進んでいれば特別少年院送致決定がなされる。一方、心身の著しい故障がある場合は医療少年院送致決定。年齢区分でいうと、義務教育中のものは初等少年院送致。それ以降の年齢のものは中等少年院送致決定がなされる。
少年院からの出院は通常は仮退院という形でおこなう。その後保護観察が続けられる。保護観察中はそん守事項を守り、良い状態が続けば本退院。守らなかったりすれば再び戻されることも。

C)検察官送致(逆送)
   一、本人が20歳以上と判明した場合。二、刑事処分が相当の場合。二の場合は検察官必ず(全件)刑事裁判所に起訴しなければならない。少年はこの段階で成人と同じく刑事裁判を受け、刑罰を科される。
(C-1,2 裁判所HP, C-3及び図 少年犯罪と向き合う)

D.審判。やっぱり特殊。
審判は,少年が本当に非行を犯したかどうかを確認した上,少年に対する処分を決めるための手続。これは,言うなれば成人の刑事裁判における法廷での公判手続に当たるもの。その手続や実際の内容は,公判手続とは大きく異なる。
 例えば,成人の刑事裁判は公開とされていますが,少年審判は非公開とされており,一般の人の傍聴は許されない。これは,少年や家族の秘密を守り,少年の情操を保護し,その立ち直りを容易にさせようという配慮によるもの。(←ここが論点となる!!被害者の権利は?等。でも公開したらしたらで、(少年更生したとしても)受け入れるのか?むしろ排除するのでは。)
また,「審判は,懇切を旨として,和やかに」行うことになっており,これも刑事裁判と大きく違っているところ。しかし,同時に,「少年に対し自己の非行についての内省を促すものとしなければならない。」とも定められており,少年の更生を願って,相応の厳しさもある雰囲気の中で行われている(少年法22条1項)。
ちなみに裁判官は,調査の結果に基づいて,その少年につき審判を開く必要があるかどうかを決める。
審判には,呼出しを受けた少年と保護者が出席し,裁判官と裁判所書記官が列席。また,家庭裁判所調査官,付添人(多くは弁護士),学校の先生,雇主,保護司などが出席することもある。また,非行事実の存否が争われる一定の重大な事件においては,家庭裁判所の判断で検察官を出席させることもある。
少年に非行事実が認められる場合には,裁判官は審判において,少年が再び非行を犯さないで人間的に成長するにはどのような手当てが必要かということを十分に考えて,最終的な処分をする。(A/T 裁判所HP)
 
※ 弁護人(付添人)がつかない少年審判。任意であるため、弁護人がつかない場合まだまだ多。ただし、検察官が審判に関与する時は絶対。費用がない場合は国選。



E.少年法改正について(やっとここまで来たよ…!!)
1948年 少年法成立(戦後改革の一環。敗戦後混乱する社会状況が犯罪の激増を招いたため。)
2000年 11月少年法改正法案成立、2001年4月施行

Changing point
1.
  まえ あと
刑事処分可能年齢 16歳以上のみ 14歳以上
  ただし刑事責任は14歳以上  
刑事処分 家裁の前面裁量 *の条件時「原則刑事処分」
* 「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件」(殺人や傷害致死など)
「その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るもの」
更に 必要な場合は保護者に訓戒、指導等適切な措置をとることができる。
(以上が導入された理由は、「最近の少年犯罪の動向等にかんがみ、少年及びその保護者に対し、その責任について一層の自覚を促すため」)


2.@検察官と付添い人が関与した審理を導入、
   ポイントは、少年審判全部について検察官関与を認めたわけでないということ。審判のうち、事実認定をするための審判(どういう犯罪を犯したかという事実認定をする)に限定されたこと
※背景としては、山形マット死事件(1993)
 家裁がいったん不処分とした少年の非行事実を高裁が逆転認定、少年審判の事実認定能力に疑問がなげかけられた。(※部 日本の論点 ’99)
A裁定合議制(三人の裁判官が担当する制度、前は一人だった。成人の刑事裁判と同じ形に。)
   (少年審判における事実認定手続きの一層の適正化を図るため)
3.記録の閲覧や意見聴取等の制度を導入
   (被害者に対する配慮を実現するため)
4.再審制度の拡充等


論点は??
・論点となるのは1、2。特に一定の犯罪については原則刑事処分にするという犯罪の外形的事実で処分を決める「原則逆送」は、「健全育成を期す」という少年法の理念からはずれる考え方。
※検察官関与について
対審構造が成人の裁判では優れた形式だとしても、それが少年にとっても良いのか??
故意過失、殺意の有無等の争いが検察官、付添人の間で法律用語を使ってなされた時、少年は自分の問題として理解するのだろうか? (※部 日本の論点 2001)

・また、14歳以上なら刑罰を科される可能性が出てきた。が、彼らは義務教育中。果たしてこの年代の子ども達に刑罰を科してよいか?刑事裁判に付してよいか? 
b/c @少年に必要な教育・指導の機会を制限し、あるいはこれを奪う。(身体拘束、労役のため)
   Aそもそもこの年代の子どもたちが、刑事裁判に対応できるだけの能力を持つか疑わしい。
  (自分の感情を述べることさえままならないのに、まして…)

・刑罰化によって犯罪防止可能? 再犯罪防止可能?? 
(厳しさを与えることで自分でやったことの責任を自覚させることになる、規範意識をつける)  等。
→特に少年司法は、大人のそれとは違うことに注意。社会等環境の中で追い詰められているのが根本原因ではなかったか?自己肯定感なく、また自分の居場所がないと感じる社会にたいして、規範意識など芽生えるのか?
そもそも、昔(少年法が出来る前)もっと少年に対して厳罰だった。にもかかわらず、全然減らなかった(むしろ成人の囚人の影響を受け、犯罪傾向が進んだ。別の監獄にしても労役が中心になって限界があった)から出来てきた。つまり、厳罰は意味ナシだ。  (→部からA/T 日本の論点 ’99, 「少年犯罪と向き合う」)
少年については、凶悪犯の抑止に、威嚇と厳罰は有効でない。(日本の論点 1998)
 言い切っているので、海老としてはおいしいが、ちょっと信用できないとこも。

また、提案者側においても、少年法改正の効果(厳罰化)としての犯罪現象には否定的。

{更に、前述のようにいきなり重大な事件を起こすなどしていきなり少年院へ送致されるケースが多い。(少年院新収容者  保護観察歴ナシ の比率 49.2%, 少年院送致歴ナシ の比率86.2% A/T法務省矯正統計年報、平成9年)ので、そもそも再犯罪はあまりない…??}{}個人的勝手な意見
似たようなのに 
犯罪のうち、再犯の占める割合は相当ある。〜だが、少年法は舞台的には、再犯防止を主目的としているものである保護観察や少年院送致を受けた少年の再犯率はそれほど高くはない。〜福祉・教育を中心とする少年法制の機能によるところが大きい。

・ 3が論点になる時、”不十分”、か?

・ 匿名報道の廃止、情報公開の要求…??
→加害者少年の健全育成は…??前述の通り。


以上の論点を踏まえて、考えられるプラン等は…
・ 検察官がもっと関与できるように。(少年法改正の流れをくむ。)
Eg.「長期三年を超える事件の場合は検察官関与を認める」等
・ 改正を戻す(笑)特に検察官関与に関しての撤回とか?
・ 被害者保護
Eg.被害者の精神的ケアを図るための援助の制度、カウンセラー等
 被害者補償による経済的ケア・法的援助の制度確立
  情報開示に関しては、付添い人を含む少年側と被害者側双方の要望を聴取しつつ家裁裁判官が判断
・全件送致、少年法の少年保護理念を貫くには警察官、調査官、裁判官が不足しすぎ。これら職員の増員、矯正職員の増員。


補足  (個人的には先にやられてしまった…!!な)現在政府が推進する政策
1 非行の前兆となり得る問題行動等の段階での的確な対応
 少年非行の凶悪化・粗暴化対策としては,その前兆段階で有効な対策を講じることが極めて重要である。このため、非行に結び付く問題行動等の段階においてその要因を取り除くことができるよう,各種相談窓口の充実強化,家庭教育への支援,学校における積極的な非行の兆候の把握,警察における街頭補導活動等の充実,関係機関と保護者等との協議の場の確保等の諸施策を講じることとする。

(1)
 少年やその保護者・家庭を対象とした各種相談窓口・事業の充実強化等
 少年やその保護者・家庭が必要なときに相談し,非行の兆候を逃さずに受け止め適切な措置を講じることができるよう,警察署等の少年相談窓口,児童相談所の相談窓口,福祉事務所の家庭児童相談室,教育委員会の子どもや親のための24時間電話相談等各種相談窓口・事業について,それらの周知を図るとともに,夜間・深夜における電話相談受理体制の整備や出張・巡回相談を実施するなど体制・内容の充実を図る。
 また,地域における相談機関相互の連携及び相談機関と学校等との連携の強化を図る。
[主要推進省庁:内閣府,警察庁,法務省,文部科学省,厚生労働省等]

(2)
 家庭教育への支援
 家庭教育手帳,家庭教育ノート等を活用した親の子育てについての学習活動を公民館等において推進する。
 また,思春期の子どもを持つ親の悩みや不安に応えるための資料の作成や学習機会の充実を図る。[主要推進省庁:文部科学省]

(3)
 学校における対応
 スクールカウンセラーや心の教室相談員等の配置,児童生徒の問題行動の兆候を早期にとらえられるようにするための教員の資質の向上,PTAや関係機関との連携の強化などの対策を講じる。[主要推進省庁:文部科学省]

(4)
 警察における対応
 一層相談のしやすい窓口の充実を図るほか,ふだんから非行集団等の活動実態を把握しておくとともに,少年相談活動や街頭補導活動等において,非行の前兆や端緒を見落とさず,少年サポートセンターが中心となって,少年やその保護者等に対するきめ細かな指導,助言等を行う。[主要推進省庁:警察庁等]

(5)
 関係機関と保護者等との協議の場の確保等
 非行の兆候がみられた場合には,学校,警察,児童相談所等の関係機関と少年の保護者や少年自身が直接顔を合わせて対応を協議し,必要に応じ少年の保護者や少年自身に対し適切な指導を行うことができる場を設けるようこれらの関係機関にはたらきかける。
 また,これら関係機関や民間ボランティアが協力して街頭補導活動,カウンセリング,継続的な指導等を実施できるよう,連携の一層の強化を図る。
[主要推進省庁:内閣府,警察庁,文部科学省,厚生労働省等]


 悪質な少年犯罪に対する厳正な措置
(1)  警察における少年事件捜査に関する対応
 少年事件捜査力の充実強化のため,都道府県警察本部において,少年事件特別捜査隊(班),少年警察特別捜査隊(班)等の設置や警察署の少年事件捜査体制の拡充に努めるとともに,少年の特性等に配意した専門的技能が求められる少年事件捜査に対して少年担当部門の捜査員を捜査体制に編入させるなど,関係部門との緊密な連携を図る。
[主要推進省庁:警察庁等]

(2)
 「少年法等の一部を改正する法律」の円滑な施行と適切な運用
 第150回国会において,少年事件の処分等の在り方の見直し,少年審判の事実認定手続の一層の適正化及び被害者への配慮の充実を内容とする「少年法等の一部を改正する法律」が成立したことを受け,その円滑な施行及び適切な運用を図る。
[主要推進省庁:法務省]

3.原因解明への研究


 非行等問題行動の防止にもつながる積極的な青少年健全育成施策の実施
 青少年の健全育成を図ることは,非行等問題行動の防止の観点からも極めて重要である。このような認識の下,青少年からの意見表明の機会の提供,地域社会における青少年育成環境の整備,学校における命の大切さについての周知徹底等の諸施策を講じることとする。

(1)
 青少年の意見表明の機会の提供
 青少年からの悩みに対する相談窓口の紹介並びに青少年自身や保護者を始めとする青少年育成関係者への情報提供,啓発及び意見交換・聴取を行うことを可能とする「青少年のためのホームページ」を開設し,関係省庁間のみならず地方公共団体,青少年団体等とも青少年の非行問題等に関する情報の交換及び共有化を図ることとする。
 また,平成12年8月に開催した「全国ユースフォーラム」において,高校生が主体となって教育,社会等に関し討論,意見交換等を行ったところであるが,このような,高校生等が主体となって,身近な家庭・学校や地域社会での問題や少年犯罪,いじめ等社会全般の問題についての討論,意見交換等を行う機会を随時設ける。
[主要推進省庁:内閣府,文部科学省等]

(2)
 地域社会における青少年育成環境の整備
 青少年が多様な人々と交流する機会や自然体験・社会体験等を積み重ねられる機会や場を提供するなど,地域社会における青少年の多様な育成方策を推進する。
 また,地域社会におけるPTA等が行う青少年の育成に有害な環境の浄化活動に対する支援の充実を図る。
[主要推進省庁:文部科学省,内閣府,環境省,厚生労働省,農林水産省,経済産業省,国土交通省等]

(3)
 命の大切さについての周知徹底
 教育改革国民会議座長緊急アピール及び文部大臣からの「各学校へのお願い」を出したところであるが,引き続き,学校において,青少年に対し命の大切さについて訴えていくこととする。
[主要推進省庁:文部科学省等]

(4)
 青少年健全育成等についての広報啓発活動等の推進
 平成12年7月の「青少年の非行問題に取り組む全国強調月間」及び同年11月の「全国青少年健全育成強調月間」において,地方公共団体,民間団体等と連携を図りつつ,青少年の非行防止に関する広報啓発活動等を実施したところであるが,今後とも,地域社会が青少年の健全育成及び非行防止に対する関心を一層高めていくような広報啓発活動,家庭の育成機能に対する支援等の取組を推進することとする。
 また,家庭や地域社会全体で子どもとふれあい話し合う機会を充実するとともに,心豊かな子どもたちを育むため,平成9年8月以降実施している「〔子どもと話そう〕全国キャンペーン」において,今後とも,行政機関,企業,各種団体,個人等への呼びかけを推進する。
[主要推進省庁:内閣府,文部科学省,警察庁,厚生労働省等]
(青少年育成会推進会議 平成13年2/28 http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/sochi.htm)


少年犯罪
日本の論点2004 論点72−犯罪被害者をどう救済するか
藤井誠二(ふじいせいじ)ノンフィクションライター
「遺族救済の第一歩は「事件のすべてを知る」こと。改正少年法の不備を衝く」
日本の刑法では14歳に満たないものに対しては殺人を犯そうとも刑事責任を問うことができない。
事件の概要は公表されない。
被害者遺族にさえ知らされない秘密主義が少年法では貫かれている
被害者の知る権利
事件に関する全資料のうち、「家裁の許可の出た分だけ」しか見ることができない
長崎の男児殺害事件の被害者遺族は事件の全情報を得られたわけではない
殺された側の「知りたい」という必死の思いを軽視している
家裁裁判官の裁量権にいくらでも左右される
民事訴訟を提起する被害者遺族の目的は、「事実」を知りたいが故
それしか事件の真相を追求していく場がないから
捜査資料など膨大な書類のコピー代金
弁護士などの費用 民事訴訟 被害者側の負担